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フィジオ 運動連鎖アプローチⓇ協会~活動報告~

リハビリテーションに携わる理学療法士のための研究会活動を掲載しています。2007年末に運動連鎖アプローチ研究所を開設しました。手探り状態ですが、次代の理学療法士のあり方を模索していきたいと思います。

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Category: 研修会(参加)報告

【第3回ウィメンズへルス理学療法研究会 埼玉支部会】参加報告

2018/03 26 (Mon)

Category: 研修会(参加)報告

日本理学療法士学会 ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門 後援
【第3回ウィメンズへルス理学療法研究会 埼玉支部会】
に本日午後に参加させていただきました。多くの働く女性の理学療法士が集い、それぞれのワークライフバランスについてディスカッションできた時間でした。

テーマ『私×仕事~WORK LIFE BALANCE』
・日時: 2018年3月25日(日)
14:00~16:30(13:30開場)
・場所: 埼玉県男女共同参画推進センタ
With Youさいたま
セミナー室1・2

・趣旨は以下の通りです。
「PTとしての働き方は多種多様あり、PTだけの自分とは別に色々な私もいると思います。女性として、妻として、母として、娘として
ライフイベントによって変化する私と仕事、
その変化にどのように向き合い行動されたかを3名の先生方にお話頂きます。
働きつづける女性は増えていく中で身近にキャリアモデル、母親としてのロールモデルを見つけられる環境は少ないかと思います。
色々なビジョンが持て皆さんとシェアできればと考えております。」

****************
【タイムテーブル】
14:00~15:10
・「ライフイベントとキャリアデザインについて」
埼玉県立大学 助教 須永康代 先生

・「~WORKとLIFE!どちらも自分らしく在るために~震災を通じて見えた優先順位と手放すことのバランス」
戸田市役所 介護老人保健施設 川﨑育恵 先生

・「自分らしい働き方・生き方にOKを出す♪」
さいたま赤十字病院 河合 麻美 先生

15:10~15:30 休憩・名刺交換会

15:30~16:30 トークセッション

*講師*
・河合 麻美 先生
さいたま赤十字病院 リハビリテーション科
リハビリママ&パパの会 代表
理学療法士
4児の母

・川﨑 育恵 先生
戸田市役所 介護保険施設
reconditining[輝]~きら~ 元代表
理学療法士
3児の母

・須永 康代 先生
埼玉県立大学 助教
日本理学療法士学会 ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門 運営幹事
理学療法士
2児の母

 働く女性が参加しやすいように託児付きで、学術シンポジウムというよりも、和やかでそれでいて心地よい空気感が流れる時間でした。同じく境遇を共有できる、肩の力を抜ける時間なのかもしれません。

 女性の社会進出や子育て支援という形で、国もようやく重い腰をあげだしたところですが、文化として変わることは至難の技です。

国会議員や会社の役席など、理学療法士でいえば学会や勉強会などの対外的な活動も含めて、あらゆる場で機会が少ないことを考えると、これは既定路線として我々日本のなかに流れる血のようなものであり、外科手術をしなければ治らないぐらいの重症度かもしれません。

女性と男性は明らかに違うということは、あらゆる場面で有史以来語られてきたことですが、永遠のテーマとして時には哲学として語られています。

お互い理解しようとしても全く思考回路が違うのか、それぞれが理解しがたい側面があることに気付かされます。

このような理解しがたい行為については、誰かに話したり、共感してもらうことが大切とのことで、女性は特に胸の内に溜め込まず、吐き出してすっきりするという側面があるかもしれません。また大切にされたいという気持ちも当然といえば当然ですが、あるように思います。反面男性は、誰かに認められたい!という思いが強いことがあげられます。これは年齢関係なく男性は全体的な傾向としてあるかもしれません。このような主観は誰にでも当てはまるものではありませんが、大まかな傾向や印象として共感できるとこともあります。

埼玉での研究会の前に、横浜にて神奈川県理学療法士学会に参加して、そこでMSWの方とお話しさせていただいたのですが、最近は「治療だけでなく支援とサポートが求められる時代になった」ということを仰っていました。
本来の治療とは病気に対して、治療するという原則は変わらないものの、満足度という付加価値を求めてくるようになったということだと思います。もちろん完治することが何よりもの満足であることの分野は、敢然と存在するのですが、方や慢性疾患という長く付き合っていかなければいけない病態も多々あるわけで、やはり支えてほしいという思いがあるのだと思います。

さて埼玉支部の話に戻しますと、男性社会といっていい日本の社会において、女性が輝ける社会をいかに創造していくかということが、今後の経済発展もう含めた、より良い日本のあり方においては必要不可欠であると考えます。

では何故欧米では女性の社会進出が進んでいると報道されているのか?欧米に限らず、アジアやアフリカ、そして東欧に南米などはどうなっているのか?全てが欧米がモデルになるとは思いませんが、世界の潮流のなかで変化が求められている部分であり、以前として変わっていない文化でもあります。

よくわかりませんが、過去の世界大戦など地続きのユーロ圏などにおいては、争いの中心は男性であり、その繰り返してきた歴史そのもののなかで、どうしても自らが自戒するということの難しさにおいて、最も身近で違った視点にて見てくれる存在が女性だったのかもしれません。もちろんそれは逆も真なりだと思いますので、お互いがお互いを知るための文化、思いやる文化というものが必要なのかもしれません。

 それは男女ということだけでなく、他人を隣人を民族間の隔たりを超えての創造力と、まずは受け入れる、受け止めるという思考のパラダイムシフトが必要なのだと思います。まずは受け入れて咀嚼してみるというのは、文章にすると簡単ですが、いうほど簡単ではありません。

今回の勉強会の機会に参加できて、そのなかに流れる空気というものに触れることができました。おそらくそこに男性のなかの男性というタイプが入ってくると、一気に女性の本来の求める空気は破かれてしまい、結局は男性文化の価値観において解釈されてしまうのだと思います。

どうしてもオジさん世代といってしまうと、身も蓋もありませんが、やはり時にその表現のなかに理解が得難いというニュアンスが含まれることもあります。子育てと無縁の世代も存在しますので、既に理解しようということが難しいのかもしれません。つまり家族や子育てよりも仕事や一心に打ち込んで極めるという文化が、戦後の復興を支えてきたことは確かですが、その文化がどうして現代において変化が求められているのか?いつの時代でも自分自信がいつの間にか、ある価値観に支配されていることは気がつかないもの。つまり高度成長期というマイナスからゼロに戻して、そこからプラスに転じる時代は、それは本当にやりがいのあるものだと思います。歯を食いしばっても、這ってでも、しがみ付いてでもやるべきもの・・・美談や成功談は多いですが、おそらくその弊害も多くがあることでしょう。この現代においては既にプラスのマックスを極めたところから、さらに生き方や、意義、つまり仕事の意味そのものの定義が求められているのです。なぜ、それをしなければいけないのか?まずは体を動かして、理屈より動け!ということは一つの真理でもありながら、実のところ解釈によっては強要するということでもあります。だまって従え・・・と拡大解釈するとそうなります。

働き方改革とは、まさに女性の立ち置かれている心境や境遇から、一つ一つ積み上げていく作業をすることで、導き出されていくものなのかもしれません。つまり女性の社会進出や生き方、自分らしさというものは、まさに今始まったばかりであり、ある意味高度成長期なのです。つまり男性社会の日本における成長という路線は、いくところまでいって、まさに団塊の世代を中心とした、ピークに達しています。もしかしたら男性社会のピークというか、ピークが過ぎて世代が切り替わる転換点における、最後の抵抗なのかもしれません。時代が終わる変わる瞬間を、やすやすと見過ごすほど人間は人がでてきていません。特に理学療法の業界は先達が最初からトップランナーであり、50年間そのまま平行移動しているわけですから、だからこその気概でもあり、だからこその文化でもあるのですが、特殊な構造であることも事実なのです。若い世代を中心にどんどん地域や企業との連携を模索して、リハビリや医療という狭い世界を飛び出して、新たな価値観を創造しようとするその姿は、至極必然のようにも見えます。
 なぜならこのヒエラルキーともいえる構造体は、上がどん詰まりで息がつまりそうだからです。よってその息抜きとして、ポンと飛び出して何かをやろうとする発想はわからないでもありません。しかしながら根底にこの業界で認めて欲しいという欲求があるので、それがまた厄介なのです。それは、その欲望をそのまま登用して採用してくれる懐は、どこにいってもないからです。社会的な活動、社会からの要望、それと自らの自己実現との中庸を取り持つ必要があるのです。


Thread: 心、意識、魂、生命、人間の可能性 心と身体
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姿勢と歩行レクチャー

2018/01 23 (Tue)

Category: 研修会(参加)報告

一昨日の日曜日、中野にありますStugio Physにて運動連鎖アプローチ®︎最新トピックス「姿勢と歩行」についてレクチャーさせていただきました。

医療と介護、フレイルとロコモ、アウトカム、理学療法、の観点から紐解くと、歩行は歩行スピード、立ち上がり動作に帰結されます。


歩容という動きの質を、どのように治療院と予防の価値感に結びつけるか?先ずはリハビリを取り巻く前提条件を整理し、そこから必然性を絞込み、社会情勢の中で専門家てして果たすべき役割を明確にしていきます。キネマティックとキネティックは、体育や工学の専門家がおり、脳科学や認知神経科学は、医学や心理の研究者が沢山います。理学療法や作業療法の臨床家は、それぞれの専門分野を統合と解釈し直し、序盤の戦型予想、中盤の構成力、そして形勢判断が必要となります。

動きに知覚と認知を融合させ、ICFに沿って、自助と互助に落とし込んでいきます。そして臨床において必要不可欠なのは、感覚入力を有効に導くための手順です。

臨床は人対人になりますので、現在抱えている機能障害における、理解度や生活動作との関連性など、治癒機転に至るどの段階にあるかによって、最初に組み上げる戦型が変わってくるのです。

定石を踏襲するのか、それとも力戦型といわれる定石から離れた新たな糸口を模索するのか?

レクチャーとして、主に脳卒中の片麻痺患者を想定した感覚入力におけるメカニズムと、全身の運動連鎖として身体をいくつかのブロックに分けて、その各部位がロコモーションとして機能しているかを運動連鎖歩行ツールにて評価していきました。


動きの中で不得意なパターンを本人も自覚できるパフォーマンステストに落とし込み、自助につながりやすいエクササイズとしての役割も果たして行きます。

参加いただいたPT.OTの皆さんは本当に理解度も高く、普段の臨床における探求を怠らない姿勢が感じられます。質的な問題がよく指摘されますが、少なくとも相当の研鑽を積んでいる理学療法士、作業療法士は沢山いますので、その能力を如何に社会に還元して行ける場を設けることができるかが、私の使命であると強く認識した次第です。


姿勢においても、あるパターン化した運動連鎖の基盤となっていることを自覚し、要素を統合して行く過程を運動学習していきます。その学習過程に関わることが、セラピストとして教師になれることが求められています。
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回復期におけるインソールパットの活用方法

2017/08 07 (Mon)

Category: 研修会(参加)報告

8月6日日曜日
中伊豆温泉病院や近隣の病院のスタッフの皆さんを対象とした、運動連鎖インソール®パット入門in 中伊豆
下肢体幹の運動連鎖からみた ADL 動作〜ひざ関節に着目して〜

gradeⅢ以上の手術適応のOAに対して効果的な理学療法とは何か?膝関節の姿勢制御における戦略を理解し、膝以外の可逆性のあるストラテジーに対してアプローチすることで、膝への負担を解除していきます。インソールパットは回復期の患者さんなどに、リハビリの一助として大いに効果を発揮します!
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では具体的にどのような工程を踏んで提供しているのかを紹介します。

対象となるのは自立した患者さんではなく、在宅に帰れるか帰れないかというボーダーにある人になります。入院の場合には高齢者で要介護度がついている人も少なくなく、独居であったり、日中は留守番をできなければいけないなどの条件があります。
 つまり自立した方向ができて、日常生活や外出がある程度一人できる場合においては、インソールは入院の場合には対象となりません。つまり歩容の改善という目的だけではFIMやBIの改善とは無関係だからです。つまり痛みがあったとしても自立している場合には、他の手段が選択され、まさに自立して歩けるかどうかの狭間にある患者は、良くなる方法であれば何でも用いることが望まれます。

私の軽々では以下の条件となります。
①平行棒内にて見守り歩行レベル:1〜2往復可能レベル
②杖や歩行器では痛みのため自立は難しいレベル
③原疾患は股関節や脊柱などで入院しているが、入院前から膝の加療をしている、もしくは入院後に再発、機能低下により膝への負担が増大して生活動作への支障となっている場合。
④膝関節のみを見た場合には変形は手術適応であり、不安定性が顕著に出現している場合。


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以上のようなケースとなります。つまり歩行は見守りレベルであるということからも、フリー歩行での歩行分析のために何度も往復して歩いてもらうことが困難であり、在宅に戻れるか戻れないかの直接的な分岐点となっているケースにおいて、選択肢はよりインソールによる足元のコントロールになります。

つまり一般整やある程度自立している人の場合、インソールだけが選択肢ではなく、敢えてインソールを用いると決めていないと使わない、もしくは他の代替の手段がいくつか考えられるといった場合には、体幹トレーニングや生活動作を想定したアクテイィビティなどにて良くなる可能性考えられます。

ではこのように膝OAに特化したインソールの視点は?
しれは回旋機能の改善となります。
膝の回旋には内旋と外旋の綱引きかのような、逆方法の引き合いが膝関節にかかっている場合が多々有ります。例えば。内旋・外旋となると内側ハムストリングスと外側ハムストリングスの緊張の左右差となります。
 例えば膝が外旋位であったとしても、外旋位のなかで内旋モーメントが働いている場合も考えられ、差し引きで外旋位となっているケースがあるのです。お互いが引き合っているということは、膝関節そのものは重心移動にともなう受動的な回旋・屈伸が制限されることになります。すでに手術適応に膝OAは、重度な内反変形を呈しており、なおかつ捻転も起きています。骨の形状そのものを矯正することは保存的には不可能であり、その変形による正中重力線からの変位は、足底と床面との接地において、距腿関節や距骨化関節、そして足部アーチ構造の過度なマルアライメントの強制につながり、それが新たな回旋モーメントを引き起こし、本来の膝の回旋変位とは逆の方向に引っ張っていることがあるのです。見た目の回旋位ではなく、引き合いのなかでの回旋位という見方が必要なのです。

「膝関節に真逆の二つの力が同時に働いている」これは円滑なロコモーションを妨げ、移動動作において長時間の歩行などに支障を来してきます。
 インソールパットの方針は、二つの力の綱引き状態を解消し、長軸上の骨支持にて荷重が伝達されるように導くことにあります。あくまで歩行は、足の接地から上行性に骨関節が積み上がっていくためには、安静時に筋緊張によって引き合っているという状態は好ましくありません。
 綱引き状態の解消
 拮抗する二つのモーメントの解消
以上の方針のもとに骨の長軸上の芯を作ることで、重心の移動にともなう可変性を取り戻すのです。
Thread: 心と身体の健康と運動・武術・武道 心と身体
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中臀筋跛行のメカニズム(運動連鎖道場in福岡内容ー報告ー)

2017/07 26 (Wed)

Category: 研修会(参加)報告

トレンデレンブルグ徴候(Trendelenburg's sign)にはpositiveとnegativeがあり、その機序についてのメカニズムについては明らかになっていません。特に具体的なアプローチにおいては、さらに未知となっています。全体的に臀筋や体幹のトレーニングをしていると網羅される側面があり、何らかの改善は見られるためそのままスルーされることが多くあります。しかしながら改めてトレンデレンブルグ歩行とデュジャンヌ歩行の機序については、あまりにも臨床では当たり前にってしまっているため、疑問をいだくこともなくなっています。

機序は違うはずだけれども、アプローチは別段同じようになってしまっている。ケースバイケースで対応しているので、これだという方針はないというようなところかもしれません。

トレンデレンブルク兆候は見た目通り前額面上の問題となります。先ずひとが抗重力にて動くという前提には、身体軸という仮想のセンターが必要となります。バランスとは何かに対して戻せる能力であり、それは重力に対して修正していることは間違いありません。転ばないで立っていられることは、立ち直り反応や平衡反応の賜物であり、抗重力に負けてしまうと傾きや転倒につながります。高齢者の重度な背骨の変形は、まさに重力線に対する適応の結果であり、いわゆる可変性を持って対応できなくなったことによる固定適応となります。つまり若い時であれば修正能力が効くことで、前後左右の動揺に対して中心軸への回帰が起きます。これが身体部位ではなく物理的な中心軸として表象されて来るのです。

長期にわたる変形や痛み、炎症などで、本来あるべき連鎖が途切れると、運動連鎖かなくなり個別の身体部位にて運動を遂行しようとします。股関節疾患もしかりで、変形性股関節症は経年的変化を前提としており、進行が緩徐であるが故に身体における代償や適応も独自化しやすく、改めて新しい連鎖を受け入れることが難しくなっていることがあります。このようなケースであれば、股関節そのものの機能にこだわり過ぎても、改善はあるところから見込めなくなってしまいます。つまり姿勢制御の前提である、軸への回帰というメカニズムが失われているからです。この軸機能ありきで身体運動は成り立っており、体幹の安定性とは軸の周りの同心円状に取り囲む年輪のようなものなのです。よって水平断にて面積があるということは、多少の年輪の分布に歪みがあろうと、根っこから曲がって伸びていようと、倒れることはありません。ホームランバッターが大体胴回りが太いのも、立て直す身体部位が胴体にて吸収されてしまうからなのです。これがどんなに身体能力が高く、当たれば飛ばすスリムなアスリート体型の選手であっても、体制が崩されると首や肩周りがどうしても位相差が出やすくなるため、修正部位が多岐にわたることになりパワーをボールに集約させる確率が下がるということになります。


歩いていると片側の臀部が痛くなるなどの症状は、立ち直り反応としての修正能力が働いているからといえことも多々あります。明らかにアライメントは左へ傾倒していることで、立ち上がると重心が高くなることで揺り戻しがおきて、骨盤をより左へ振ることでバランスをとるなどが例としてあげられます。

年齢も80から90を超えてくると、明らかに傾倒姿勢で固定しているケースが見られます。これはいつの間にか戻せる筋肉や関節のマージンが少なくなり、本来のアライメントがそのまま現れたものと言えます。

このようにあらゆる現象見ていくと、中臀筋跛行は修正能力の表れとも言えます。つまりトレンデレンブルク兆候は、中臀筋がダイレクトに効きやすいベクトルにあるからこそ、遊脚側の骨盤が下降するのです。反対にネガテイブなトレンデレンブルク兆候の場合は、中臀筋よりもTFLや腓骨筋のテンションによる支持戦略であり、重心の移動が不十分であることがわかります。つまり骨盤のサイドへのSWAYがストップすることにより、体幹が側屈することで補償しているのです。関節運動学的には、足部の回内に伴う骨盤の側方移動、つまり相対的な股関節の内転位という絶妙なタイミングにて連鎖が促される必要があります。

トレンデレンブルク兆候の改善のために必要なことは、股関節周りが学術的にはメインとなるものの、歩行そのものの原理原則を付帯することで、潜在的な能力を引き出し、また足りないものを補完してくれることになります。中臀筋のみならずネガテイブなトレンデレンブルク兆候の場合には、内転筋の働きが不可欠となります。この内転筋は足部の回内運動に連動して作用しますが、股関節の制御のみならずセンタリング作用があります。センタリングとは姿勢制御の軸となるべき機能的な概念であり、必ずしも解剖学的な一致をするものではありません。
この軸は独楽の芯のようなもので、回転する時に不可欠な機能です。回転モーメントが大きくなればなるほど、軸としての強さが求められることになり、安定とは太くそして強烈に戻せる能力とも言い換えられます。つまり歩行とは筋肉による制御もさることながら、モーメントや加速度などの物理的なフォースを生み出す、動力機関なのです。もちろん中臀筋跛行と称されるように、寄与する割合が高い重要部位が損なわれると、他の機関の立て直しが難しくなってしまいます。つまり普段はセンタリング機能をそれほど使っていない歩行者において、股関節のメインパーツが低下すると、バックアップ機能としての代替を持ってこれなくなるのです。
つまりセンタリングとバイラテラルは、お城の天守閣にある大黒柱ともいうべき芯であり、姿勢制御の機能軸なのです。もちろん機能軸を構成するパーツはあるのですが、それ以上に連動性と相互性が不可欠な人類の極みともいうべきファンクションなのです。

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運動連鎖道場in福岡での一場面
重度な膝関節障害などにより長期にわたり固定が余儀なくされてしまい、いわゆる運動連鎖の分断・軸との分断・センタリング機能との連動性の消失、が見られる場合があります。難治性であり膝の可動域はもちろん腫れもひかず、リハビリが進みません。上図のような肢位にてセンタリングを促通すると、留め金が外れたように可動域が回復することがあります。

 センタリングに必要不可欠なパーツとして大腰筋があります。化膿性関節炎など炎症繰り返したり、手術後に長らく腫脹がひかなかったりするとセンタリングの機能が、下肢の運動時に連動しなくなります。つまり四肢の動きの遂行には体幹の安定性はもちろんのことですが、センタリングという機能とのbindバインドが不可欠なのです。これが長期にわたり固定や安静が強いられてしまうと、運動連鎖が分断されてしまうことになり、その分断とは軸との分断なのです。我々は運動連鎖という隣接関節との連動性とともに、センターを軸としたコントロール(修正能力)によってコントロールされているのです。このセンタリングが体幹機能のなかに含まれており、これは英語でいうコアーcoreのほうが意味としては近いと言えます。現代の体幹は安定性という外郭の中空器官として筒のようなイメージになっていますが、実際にはその筒の真ん中には耐震性に優れた、強くてしなやかな大黒柱があるのです。
Thread: 心と身体の健康と運動・武術・武道 心と身体
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さがまちアミーネット at相模大野【PDcafeを知ろう!】報告

2017/06 08 (Thu)

Category: 研修会(参加)報告

全てのやりたいことができる社会

(専門職が)世間や社会に溶け込む一人となる

コニュティを作ってサービスとして何を落とし込めるか?

6月7日水曜日、さがまちアミーネット主催で第二回目の報告会を開催いたしました。

さがまちアミーネットは、地域での活動に関わる・関心があるリハビリ職の集まりです。医療にとどまらない小児・介護・障害分野などの情報共有と創造を考えます。

成り立ちは、リハビリデイサービスONE+主催のPT佐藤正務さんの理念でもある、地域のなかで真の自立のあり方を醸成していくことになります。長い年月がかかります。あらゆる人の知恵と尽力が、目に見えない紡ぎのなかで形成されてくるものなのです。

地域での活動に関わるとなると、非常に幅広い領域となり、もはや学問として特化した方法や手段はなきに等しく、地域や行政区によって、いかようにも創意工夫ができることになります。テクニック論に走りがちで、短期的に成果を求める世の中の風潮から、いかに流されないでじっくりと取り組めるかということがカギになります。取り組むという気持ちそのものがすでに肩に力が入っており、継続するためにはできるだけ自然であること、頑張らないでもできることである必要があります。

続けられること、

柔軟に受け入れること、

そして活かすこと、


プロジェクトには確かに期限があり予算がつき成果が求められます。多くの制度がエビデンスという名の下に、きっかけとなるデータがあり、そこで制度化されていきます。
これは実際に成果が有る無しとは、実はあまり関係なく、その時の手続き論として必要なだけなのです。
手続きというのは、その時代の取り決めであり、それが本当に『生きる』ということの営みに照らし合わせた時に、核心をついているか?ということとはまた別問題です。今現在の手続き論に則ることは確かに大切ですが、しかしながら新しい時代に合わせて提言をする段階では、その手続き論を飛び越えたところの力が働いてきます。

 集団コミュニティとは、単一の職能の特化した部門といった専門分野としての狭い領域ではなく、横断的な人の関係性こそがカギとなります。

多様な人材に

多様な職種に

多様な価値観


を持った人たちが集まることにより、そこに一種の世の中の縮図ができあがります。社会は、多くのあらゆる分野の人たちが関わって成り立っています。何か一つ欠けても回らなくないわけで、専門分化されたものは、社会の1ピースでしかないのです。昨今はこの専門分化したものが、個として際立とうとして、歪にバランスが崩れているのです。

科学は専門分化されたなかでのエビデンスを求められます。しかしながら、真の意味での共生とは、文化と歴史の上に成り立つべきマインドなのです。

社会構造についてのあり方への提言は、机上の理論だけではどうしようもなく、雰囲気や空気や時代の流れなど、ある意味宇宙のダイナミズムそのものでありエネルギーなのです。


PDcafeはパーキンソン病(Parkinson's disease)の方が運動を継続できるコミュニティです。2013年より活動開始、現在は全国に展開しています。
1つのモデルは、1つのシステムとして法則性を反映したものであれば、医療のなかでだけの他職種連携だけではなく、患者や利用者という線引きされた関係を超えて、社会の中の摂理に沿っていれば、細胞分裂のように広がってきます。

今回、小川順也さんをお呼びしてのPDcafe活動の報告でしたが、見事に自助と互助のあるべき姿が出来上がっていました。
公助や共助に頼らない、いわゆる住人主体の自主グループを作っていくことが、これからの時代には必要不可欠な形となっています。

仕事や介護といった入り口ではない、住人としてフラットなつきあいのなかで、自然発生的に湧き出てくものを集約させていくファシリテーターとしての役割を果たすことが理学療法士としてできる新たな活動の形であることを示してくれています。

いままでは、医療と介護の制度のなかでの適応を繰り返してきました。その結果、いかに上手く点数をとることができるかという経営として効率よく点数を積み上げていくかということのテクニック論ばかりが話題になっていました。

改正のたびに繰り返したこの行為は、社会保障費の限界という明らかな財源不足に直面した結果、どんなに素晴らしい成果として示していったとしても、それは天井が見えているわけです。確かにそれを言ってしまっては何もできないということでもあるので、必要だと考えられることは医療と介護の枠の中でも諦めずにアピールしていくことは必要です。こう一方で公的資金に頼らない、自費でのサービスも両輪として考えなければいけない時代になりました。

私も今回初めて知ったのですが、
リー・シルバーマン療法(Lee Silverman Voice Treatment:LSVT®BIG)というパーキンソン病に特化したリハビリプログラムになり、以下の効能が期待され、理学療法士,作業療法士,言語聴覚士向けの国際資格認定講習会も開催されています。

・大きな動きを集中的に訓練することで、動きの遅さや動作 の大きさに代表される運動障害を改善する。
・運動の適切な大きさを認識・修正する能力を改善する正常と感じている「小さい動作」を、大きいと感じる
「正常な動作」へと改善する。

小川さんの取り組みは、まずは住人や対象となり当事者が集まる場所を提供し、そこから自然発生的にでてくるアイデアやニーズを拾い出していきます。対話のなかででてくるアイデアを、お互いが作っていくモデルケースとして形にしていく、ナビゲーター、ファシリテーターとしての役割!新たな理学療法士像を創造しています。

誰もがリハビリを意識できる社会を作る
リハビリの概念をグループやコニュニティ落とし込んで、理学療法士がいなくても仕組みとして動くようにしていきます
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上部平衡系~頸部~

2017/02 03 (Fri)

Category: 研修会(参加)報告

1/29日曜日、福岡医療団研修会が下記のように開催されました。

●テーマ:上部平衡系からの下行性運動連鎖
●内容:上部平衡系からの下行性運動連鎖の評価・治療
●講師:山本尚司先生(フィジオ運動連鎖アプローチ協会 代表)
●会場:たたらリハセンター

運動連鎖とは一般的には上行性運動連鎖であり、下降性運動連鎖とは頭頸部の影響が、下肢に波及していくとを指します。つまり臥位と立位では運動連鎖の動態に違いがあり、抗重力位の違いにより姿勢制御のあり方が変わってくるのです。

上肢肩甲帯は関節運動学的には肩関節の構成帯としての機能に注目されることになりますが、ロコモテイブな観点からはモーメントアームとしての作用を有します。つまり、プロペラのように手を振ることで、身体内に回転モーメントを発生させ、相拮抗する力を身体内に作り出します。歩行時には、物理的な前方への加速度に転換する必要があり、そこにはボディワークでもリハビリでもないトレーニングが必要となるのです。


このモーメントアームの作用が強ければ強いほど、より前方への推進力となり、加速していくのです。よって反動や勢いといった、リハビリでは一見危険だとされる行為が、実生活の中では有効に作用しており、またこの慣性などの外部からの外乱に対して、バランスをとれることこそが安定であり、移動能力の向上と活動の幅を広げてくれることになるのでます。

実技においては水平外転した上肢において、回転モーメントを加えることでその可動性と安定性を評価します。姿勢制御において回転は水平面であり、その時の重心移動と戦略の運動連鎖を見て行きます。この時の自覚的なやりやすさと、実際の関節運動学的な可動範囲とは一致しないことも多く、回りやすさということにおける自覚的な身体感覚とは別物であることが示唆されます。

この回転モーメントのベースである関節可動域と動きの制御機構が整うことで、歩きの効率が高まり、前方への推進力が高まります。

次に頭頸部の前方位という問題に対して、胸鎖乳突筋へのアプローチについてです。

スマホ症候群を代表として、下を向いての作業姿勢が大きく問題となっています。
1日あたりのスマホ使用時間は4時間ということもめずらしくないようで、この間は間違いなく上位頚椎の屈曲姿勢が強要されることになります。また頭頸部の前方位ということも合ぺいすると、上位頚椎の過伸展からの、さらなる頭頸部の並進運動ということも考えられ、胸鎖乳突筋のベクトルは矢状面からの正しいとされる重心線から大きく変位することになり、斜角筋は頚椎の固定のために作用を変えます。
胸鎖乳突筋は乳様突起から鎖骨に付着しており、四肢でいえば2関節筋というか、頚椎を全て跨いだ上でのそれも鎖骨への付着という、特殊な事情を抱えての筋といえます。つまりこの胸鎖乳突筋の長さと安定性のための条件は、多くの要素が含まれており、生理的な筋緊張が保たれているということは頭位から頭蓋、鎖骨など複合的な条件が満たされている必要があるのです。ではその一つ一つを全てケアしなければいけないかと言われると、実はそうでもなく筋肉という軟部組織の担っている枠割は大きく、物理的な効果に止まらない生体の表象があるのです。

つまり能動的な意図した運動における筋緊張のコントロールは、アライメントや運動イメージ、姿勢制御、運動連鎖といった多面的な要素を網羅することになるのです。


セラピスト側のマインドも制御していくことが、より客観的に俯瞰的に機能を見定められる肝になります。

素の自分を見定め見失わないように、深く落とし込みながら、自分に入れ込み過ぎないようにすることが大切です。自らをすりガラスのように透明にして、いかなる情報もフィルターとして判断できるようなレセプターは空けておかなければなりません。どんな人だったら見て欲しいと思えるか?思ってもらえるか?『自分に入れ込まない』ことにより、やるべきことをコンスタントに取り出すことができるのです。そして患者や選手のニーズや価値観や感覚を受容することができるのです。

さてら頸部に戻りますと、その胸鎖乳突筋の緊張をコントロールする術として、先ずは直接的に収縮を加えることです。全長に渡り筋緊張は一定ではなく、頭頸部の前方位は乳様突起部において、過剰に働くことになります。

触診により、全長に渡り収縮が入るようにアプローチしていきます。

健常人の不良姿勢であればこのようなアプローチが功を奏しますが、より痛みが重度で特別なプレパレーションが必要な場合には、鎖骨の調整や側頭骨の調整にて環境を整えていきます。つまり過緊張にて痛みの閾値が低下している場合には運動療法による効果は期待できません。そこで直接に刺激を入れないようにしながら、関節運動学的なアライメントを整えるアプローチに転換させていきます。

ここにさらに頚椎の変位を加味することで、頚椎にも筋肉にも負担のない、効果的な機能再建をすることができるのです。

頚椎は現代はスマホの普及などにより、より頭頸部が垂れることになります。脊椎全体の中で、より頚椎への負担が増大し、生活動作の中で頚椎の屈伸の占める割合が高くなります。

上位頚椎を見ていくと、屈伸の変換椎体が隣接していることも多く、曲げても伸ばしても辛いということにつながります。さらに回旋やスライドしての変位が加わります。整形外科に来るということはは、この一つ一つの構成要素がある臨界点を越えてしまうことになります。

よって一般的な健康体操や運動が適応外になるのです。いわゆる治療が必要であり、体操ではないのです。しかしながら、根本的に姿勢を改善しベースとなる根幹をなす太くしなければ、本当の意味での変化はありません。楽に痛みがなくなったということと、動きやすく活動的になることとは違うのです。

ともすればパフォーマンスという視点と興味が強いため、トレーニング分野と重なります。これが身体の使い方という、身体運動においてはどちらかというとミクロの側面に対して即時的な変化を主体としたこだわりがあります。しかしこれはあくまで身体運動においての感覚刺激レベルであり、学習や定着にはならないのです。自由度と汎用性も課題です。治療のスタンスは与えるです。エクササイズは自らが動く共同になります。そこに意欲と目的意識など、能動的な側面と原則を旨とします。

目線としては分節的な局所ではなく、ブロックとしてのマスの関係性を見ていきます。そして抗重力においての制御の要素も入ってきます。また加速度や慣性などの、リハビリでは反動を使ってはいけないという要素もスポーツでは間違いなく必要不可欠です。
回転モーメントを如何に制御するか?このような新しい視点でのリハビリは必要ですね。

また最後に心理学的なアプローチとして、生活動作における前のめりに対する全身の反応を変化させることができます。これは眼前から押されると後ろに仰け反る、後ずさりするといった自然に出てくる行為を利用します。実は全身の運動連鎖が最も引き出されるのが、この心理的なアプローチ要素の入った施術なのです。
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上部平衡系【肩甲骨と姿勢制御】

2016/08 25 (Thu)

Category: 研修会(参加)報告

上部平衡系とは運動連鎖アプローチ®︎における身体機能の原理原則となるべきコンテンツです。肩甲骨の重要性は姿勢制御においても明らかであり、この肩甲骨のアライメントと可動性が抗重力下での立位、歩行に大きく影響を及ぼします。
肩甲骨が単に肩関節と体幹との連結部位に当たるからという理由からだけではなく、平衡機能そのものに関与しているからです。
肩甲骨は水平位を保つための重要な器官になります。
姿勢制御においては頭一上肢一体幹のHAT戦略と骨盤戦略(動的平衡)にわけて説明されています。骨盤戦略は主に立ち直り反応としての姿勢制御であり、動的な平衡とされる意味はバランス反応だからです。決して固めているわけではなく、制御されているのです。主に体幹のインナーマッスルや脊柱の分節的な動きが求められてきます。
かたやHAT戦略は上半身重心を基点とした、どちらかというとバランス反応よりも腹圧などのシステムを活用しての固める姿勢制御となります。いわゆるカウンターウェイトにあたりますね。
ここに本来はパラシュート反応や保護伸展反応などの、さらに多様な姿勢制御機構が導入されていきます。

以下
運動連鎖道場in北九州報告道場生からの
質問内容となります。

 左右重心移動に伴い荷重側肩甲帯は胸郭上で下制せず、運動連鎖の中では挙上する必要があるとのことでしたが、肩甲帯は脊柱のアライメントにより位置が変わってくるという点では、荷重側挙上位をとるということはどのように理解すればよいでしょうか。例えば、HAT戦略などバランス戦略の選択肢が限られているケースでは腰椎が荷重側へ崩れ、胸郭を起こしても相対的に荷重側肩甲骨は対側に比べ下制している場合などは、正常から逸脱しているケースとして腰椎骨盤帯への介入が必要、もしくは逸脱している中で胸郭より上位の戦略の幅を広げていくという捉え方でよろしいでしょうか。

回答
 荷重側の肩甲骨の挙上する必要があるとの見解は、どの場面を想定してかによって変わってきます。私も具体的にどの姿勢制御場面にてコメントしたかよく覚えてないところがありますが、例えば座位にて左右の坐骨へのシフト場面では、肩甲骨を水平位に保持させるという戦略をとった場合、胸郭に対して肩甲骨は挙上位となります。つまり荷重側の胸郭との相対的な位置関係になりますので、脊柱および胸郭が荷重側に側屈する戦略の場合には肩甲骨は下制位となります。ただし戦略のバリエーションは様々であり、組み合わせは自由です。
戦略は骨盤、腰椎、胸椎、各々のパーツの戦略のバリエーションは個別性が高く、それぞれの状態をみてのアプローチを考える必要があります。
相対的な肩甲骨の位置はとても重要な視点であり、水平線に対して下制位であっても胸郭に対しては挙上位となることも考えられます。よって重力線や水平線からみた位置関係と胸郭や脊柱からみた位置関係を分けて考える必要があります。
以上


脳卒中片麻痺の患者においても肩甲骨のコントロールは本当に不可欠だと感じます。
肩甲骨は挙上と下制そして前傾と後傾、さらに上方回旋と下方回旋があり、この操作一つで歩行バランスが変わってきます。つまり肩甲骨を歩行のフェイズに合わせて順方向に誘導するか、それともカウンターとして働かせるかは動態によって可変させていきます。
この肩甲骨の誘導な臨床において検証していくと、肩甲骨そのものの誘導ではなく、肩関節および肩甲骨周りの筋群に感覚入力することでも動きを誘発することができます。
感覚入力から肩甲骨の誘導そして、座位、立位、歩行におけるバランサーとしてのコントロールなど、上部平衡系と言われるだけのことはあると実感する今日この頃でした。
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運動連鎖道場in北九州門司 第3回質問コーナー

2016/07 25 (Mon)

Category: 研修会(参加)報告

運動連鎖道場in北九州 第四回 報告

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北九州門司にて開催する運動連鎖道場も残り二回!
今回のテーマは上肢肩甲帯です。
毎回質問もいただいて、自身においてもアップデートしながらの道場となっています。

今までは頸部と肩甲帯は一緒のカテゴリーに入れていたのですが、肩甲帯は肩関節も含まれており運動器疾患としては肩関節障害そして脳血管疾患においては麻痺側のコントロールという点でとても大切な部位となります。よってボリュームが増えてくるため今回は頸部と切り離して肩甲帯を単独としました。実際に講習をしてみて、やはりこの選択は正解であったと思いました。運動連鎖アプローチといえば、どちらかというと運動器よりのイメージですが、脳血管疾患においても歩行介助において肩甲帯のサポートとアシストの効果は実感していたので、最も脳血管疾患においても応用できる内容となりました。

前回3回までの新たな質問について回答していきます。

Q1.
評価の幅は広がったけどADLにつながらない感じです。その点についてはやはり繰り返しの経験と鍛錬かなと自覚しております。

A1.
ADLに結び付けていくためには姿勢制御に対する動的パルペーションが必要となってきます。触診のなかでも解剖学的・反応を感じる・誘導する・修正を促す・そして動的な動きをアシストする・起居動作を姿勢制御の観点から反応をみていく、以上のカテゴリーがあります。


Q2.
基本的なことで申し訳ないのですが、その人なりの運動戦略が取れ、その時の身体の状態において代償動作が起きていたとしても、痛みがなく、機能的に問題がなければそのままで良いのでしょうか?
それとも、基本的な運動連鎖パターンの枠内に持って行けるよう施術や運動指導が必要なのでしょうか?
運動連鎖的に考えて、どこをゴールに設定すべきなのかを知りたいです。

A2.
正常範囲というのは基準となりますが、それがゴールとはなりません、例えば我々もj骨盤の生理的前傾前弯が望ましいことはわかっていても、実際にそこがゴールとなることはないと思われます。あくまでもできているということにおいて、そのためのコンディショニングを合目的な姿勢による弊害を認識しつつ、長期的な視点にたった予防方法について対処していきます。またその合目的な姿勢が長期にわたると痛みとなって出てきてしまった場合にはできるだけ正常の範囲に近づけていきます。しかしながら矢状面での正常化は難易度が高いため、まずは水平面と前額面での正常化を念頭においておき、矢状面については自然にどこまでよくなるかを観察していきます。


Q3.
①弱い部分の筋活動をどう高めるかが難しく、変化している実感があまり感じられません。粘り強く経験を積み重ねて行きたいと思います。
②椎間関節の話がありましたが、特に高齢者など器質的に変化しており、どうにも関節の動きがでないような方は関節よりも筋活動に目を向けることが優先でしょうか?

A3.
①弱い部分においてはマスとしての動きだと弱い筋肉は極力使わないで、できるだけ力が発揮できる筋肉を使おうとする現象がおきます。つまり人間もふくめて動物は、弱ったところを使わないで、正常なノーダメージな部分を活用するというメカニズムがあるのです。これを代償といいますが、この代償機能そのものが長けているからこそ、生存競争に勝ち残っていけることになります。ただし、リハビリにおいては弱い筋肉、足りない筋量をどうやって戻すかということに主眼をおいていますので、基本的には生存のためのメカムズムから反していることになります。つまりなかなかダメージを受けた筋肉がほっといても自然に戻らないのは、代償機能にて早く動けるということを優先するからです。
 運動連鎖アプローチ®においては単一の筋肉にフォーカスをあてて、isolationするテクニックを提供しています。つまり関節運動として自動や抵抗下の運動においてはマスの筋群が収縮してしまい、肝心の強化したい筋肉は代償作用としての機序が発動してしまい抑制されてしまうのです。よって収縮力や絶対パワーではなく、相対量として際立たせることで、脳内においてよりクリアに認識しやすい環境にもちこみます。つまり脳内においてはたとえ弱い刺激であったとしても、その瞬間により印象深く刷り込むことで促通することが可能なのです。

②高齢者においては軟部組織に目を向けることが優先となります。アライメントや骨の構造そのものの変化を元に戻すことが難しいことと、またどこまで戻せるかがリスクを伴うため予想がつきにくいこともあります。まずは水平面と前額面の調整を施して矢状面のどこまで自然に修正されてくるかを観察します。つまり強制的に姿勢を伸ばすという発想はおいておきます。不可逆的変化と可逆的変化が混在している中で、どこまで可逆的変化を引き出せるか、潜在的に有しているかをゆっくりと経過を見ていく必要があるのです。積極的に修正していくというよりも自然に馴染んで変化してくるのを待つのです。また見た目で明らかな姿勢やアライメントの変化がおきなくても、モビリティが生まれてその運動方向に僅かでもモビリティにともなう筋活動の兆しがでてくれば、それだけで身体イメージが想起されてくることで全身の運動連鎖が賦活されてくるのです。よって動きの躍動感やどことなく力強さなど、定量的には表現しずらい現象として現れてくるでしょう。つまり患者自身の自覚的な表象が変わってくるのです。前向きなコメントも出てくるかもしれません。よって椎間関節へのアプローチは、変形性脊椎症前の腰椎椎間板ヘルニアや腰痛そしてスポーツパフォーマンスにおける矢状面の骨の制御による前方への推進性への転換などが最も適応となります。
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運動連鎖アプローチ スキルアップコースin姫路報告

2016/07 24 (Sun)

Category: 研修会(参加)報告

運動連鎖アプローチ
スキルアップコースin姫路

 第一回 7月23日(土曜日)  「皮膚・筋膜の触診と運動連鎖」

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本日快晴のもと私の地元である兵庫県の姫路市にて第一回スキルアップセミナーを開催しました。

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テーマは触診ということで、運動連鎖アプローチ®の最もコアーコンテンツはパルペーションによる動作分析ということになります。
動きは観察的な動作分析が基本である理学療法ですが、慢性疼痛やCRPSのような患者においては動きによるメカニカルストレスという概念が適応とならないことが珍しくないのです。また脳血管疾患における麻痺においても、現象としての動きの分析は身体表象との乖離があるため、額面通りの力学的な視点からのアプローチが第一選択にはならないという特徴があります。

内在的な運動連鎖というパルペーションによりその人の生活動作やスポーツパフォーマンス、作業姿勢、そして既往や現在の愁訴について、改めて思い出してもらいその因果関係を紐といていきます。つまり実際に現病歴などを問診しても、限られた時間のなかでじっくりと生い立ちなどの個人の履歴を全てお話しするのは若干はばかられるものです。例えば高齢者のかたから学生時代の既往などについては、なかなか出てこないものです。しかしながら皮膚と膜系のテンションについて触診により評価すると、そのマッピングにより傾向がでてきます。それは山の等高線のようなもので、具体的にどこかがというよりも傾向がでてくるのです。

今回のセミナーにおいて最初に取り組んだのは、皮膚という最表層において全身の可動性をみることです。
 どのような場面で想定されるかというと、例えば足首の捻挫をしたとします。捻挫の診断においては靭帯損傷ということで局所になりますが、その瞬間に全身が防御のために反射的に全身の膜系が筋肉も含めて緊張します。その時のstrainは一瞬ですので、どのように波及しているかは自覚もできないほどです。 しかしながら、その一瞬の外傷における衝撃は随意的な収縮とは比較にならないくらいです。交通外傷においても、なんでこんなところが痛くなっているんだろうと思うぐらいに、あちこちに痛みがでることがあります。ハンドルをその瞬間ものすごい力で握っているなど、通常ではありえない力がかかっています。そうすると何で前腕が痛くなっているのだろうと思うと、通常ではでないような力が発揮されているのです。前腕の筋肉を痛めるほどに握る前に普通は抑制がかかるはずです。このように急性の外傷は予測不可能な状況ですので、かかる負担は全身におよんでいて、一瞬であるがゆえにどこがどのように関連しているかは、どのような姿勢にて受傷したかなどは当然思い出せないということになります。

つまりは捻挫したところは足首ですのでRICE処置が適応となるのですが、さらにより早く治癒機転へ導くためには、受傷時に生じた衝撃により生じた膜系のstrainを正常化させることが必要なのです。もちろん受傷時にそのstrainを防ぐための緊張ではあるものの、そのあまりにものtensionのために捻挫の姿勢にて踏ん張った状態にて記憶してしまうのです。つまり、覚えてしまうということです。よく捻挫は癖になるということをいいますが、それは靭帯を損傷することで関節が不安定になることが要因ではありつつも、姿勢制御において外側に荷重がかかると、その時の一連の膜の緊張が反応して、結果的に靭帯の弛緩もあいまってクルッと足首が回ってしまうのです。

またこのような外傷においては心理的なトラウマも記憶として膜系の緊張と一緒に内封してしまいます。怖いという不安感などは、ある意味足首のユルさでもあるのですが、そこに不安感が起きる人とそうでない人がいるのは、情動とセットになっているからなのです。

このような皮膚や膜系へのアプローチを身につけることで、筋骨格系へのアプローチにとどまらない可能性が広がっていきます。
つまり情動系へのアプローチとしての可能性です。理学療法士は筋骨格系のメカニカルストレスという領域にて伸びてきたわけですが、そこに心理的な側面への影響を考慮してのアプローチ要素を加えていけるということなのです。

身体イメージ、身体表象へのアプローチへのつながりも見えてきます。可動性はあるものの実際に皮膚や膜系のテンションにdelayがみられると、それは運動感覚や身体感覚として伴っていないということであり、運動をコントロールできないということです。

また運動連鎖のないところ感じられない部位についてはアプローチ対象から外すといったことも原則となります。つまり連動性がない部位については、結局のところアプローチしても全身とつながってこないのです。つまり局所の変化のみでは侵襲性が強くかえって悪くなることがあります。

全身がどのような配分にて連鎖を紡いているか?
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今回の研修会にて実技を披露したときの記載ですが、例えば腰の違和感があったとすると、その違和感の部位をモニタリングしながら身体のポイントをみていくと、膝→股関節→足首→肩関節という順にて連鎖を構成していることがわかります。また各関節の左右にも寄与する配分があります。全体をマッピングしていくと全身の連鎖の分布がつかめてくるので、その配分をもとに治療計画をたてていきます。治療計画をたてることで全身のどこからアプローチしていくことが効率的かがわかります。また全身の関与が多ければ大きいほど修正能力が高いということになり機能障害としては問題にならないレベルといえます。
また全身において反応部位が少なく、反応そのものが弱いレベルだと機能障害の重症度が高いといえます。このように「パルペーションによる動作分析」の臨床推論をすすめていくことになります。

次回は
 第二回 8月27日(土曜日) 「筋緊張の触診と運動連鎖」
以降
 第三回 9月10日(土曜日) 「骨関節の触診と運動連鎖〜骨盤〜」
 第四回 10月1日(土曜日) 「骨関節の触診と運動連鎖〜下肢〜」
 第五回 11月12日(土曜日)「骨関節の触診と運動連鎖〜上肢肩甲帯〜」   
 第六回 12月10日(土曜日)「骨関節の触診と運動連鎖〜脊柱/Core〜」
スポット参加も随時受け付けています。
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運動連鎖道場♪京都スタート

2016/07 23 (Sat)

Category: 研修会(参加)報告

7/20水曜日コースとして運動連鎖道場in京都がスタートしました。京都での道場は二回目で2年連続となります。新幹線から地下鉄を乗り継いで西院(さいいん)という駅が会場の最寄りとなります。
参加者は6名で少人数となりましたが、一人一人の思いや疑問などの心情が伝わりやすく、言葉一つとってもその、理解と馴染みやすさに差があります。参加者の皆さんは何か理学療法士として転換期にしたい!すでに研鑽しているものに上積みしたい!今いる患者さんが良くならない!なんとかしたい!なと立場も急性期から回復期、整骨院を営んでいる方など立場も背景も様々な参加者です。
言葉とは記号であり、その中に内包する意味と直結してこないと理解にいたりません。当たり前の言葉や単語も業界や組織などが違うと、途端にそのニュアンスは違ってきます。
最初の第一回のテーマは運動連鎖概論と足の運動連鎖です。運動連鎖アプローチ®️の特徴であるパルペーションテクニックをどのように習得してもらうか?そのためには効果判定やパフォーマンステストなどの定量性のある視点とどのように結びつけていくか?この辺りがメインとなってきます。
❶運動連鎖アプローチ®︎の基本単位
運動連鎖アプローチのベースとなっている背景としては他動的に動かした時の質があります。重たい!軽い!抜ける!抵抗がある!最初は特別なことではなく当たり前に主観的に感じる感覚です。関節の他動運動という誰もがやっている基本的なリハビリです。その中からどれだけ多くの情報を引き出せるかということから始まります。何かズシッとした重さを感じるときには例えば体幹などの中枢部の安定性に課題があります。つまり他動運動であっても円滑に動きが見られるときには、すでに関節運動学的にも理にかなった誘導がされているということです。つまり他動運動におけるリラックスとは奪略しているとはいえ脳内では能動的な運動と同じくシナプスの営みがあり、その動きが近くできているということにおいて、肢位に応じた筋緊張に調節されているということなのです。よって時に患者の体がセラピスト仕様になることも多々あり、セラピストが変わると微妙なタイミングや受け応えにズレが生じることがあるのです。
他動的な運動にこそ運動連鎖の真髄が隠されているのです。
❷運動連鎖の基本原理
⒈心が変われば身体が変わる。
⒉価値観が変われば身体も変わる。
心が変われば…身体が変わるというのはよく聞く言葉です。これは信じるものは救われる!やや揶揄する言葉としてのニュアンスが漂いますが、実は大切な真理が含まれています。端的な例としては患者と治療者の間に信頼関係がなければ、どんな治療も効果が出ないということです。薬や手術など病理に対して取り除いたり、生化学的な反応にて、薬理学的な反応にて起きうる現象は絶対です。そのあとの治療計画については、やはり信頼関係がなければ折角の初期対応が良くても、本当の意味での治療にはならないかもしれません。命に関わる治療においては対症療法が全てということもあります。人を見ないかもしれないが、病気を見ることの専門家が必要なことは間違いありません。この刹那的な医学の側面にリハビリの専門家である理学療法士が陥ってはいけない、勘違いしてはいけない側面なのです。理学療法そのものが治療家として治す!即時的に良い反応が得られても、その後に全くの右肩上がりで何事もなく良くなる例なんて、ほとんど無いでしょう。自らの何らかの痛みや不調が、簡単に完治しなさそうなことを見ても、他人になった途端に魔法をきかせて夢物語が生まれるわけではありません。
私が以前、非常勤で勤めていた某病院は認知運動療法のメッカでした。関節運動学的なアプローチはしない代わりに、知覚と運動そして認知の側面を、とことん突き詰めていきます。その結果身体イメージ能力が飛躍的な伸びていきます。つまりお膳立てはできている状況であり、いつでもそこに正しい運動刺激を入れると、たちまちに運動連鎖が全身に波及されるのです。私が非常勤にて見ていると、まー良くなること。普段見ている患者さん以上に反応が良好であり、学習能力が、ハンパないのです。湯水のように吸い込んでいく身体といいましょうか。確かに普段入れない運動学的なアプローチをすることで、潜在的な能力を引き出したとも言えますが、すでにその潜在能力を備蓄するためのアプローチが日々されていたということなのです。よって私からするとこんなにも容易に結果の出る患者はいなかった…というのが事実なのです。
心が変わればと言うのは、何も患者さんの前向きな心情といことだけではなく、身体イメージ能力が変わることを意味しているのです。また、納得するということにいて疑問が解決され、モヤモヤが晴れることでその治療に邁進することもできます。納得とは治療に対してというだけでなく、その機能障害のメカニズムにおける何故痛くなったのか?この症状の原因は何なのか?そのために皆は診察を受けて、検査を受けるのです。原因を知りたいがために診察と検査を受けて、そこに至ったプロセスなどを見返すきっかけになるのです。つまりはお任せ的なお医者さま!という完全なる上下関係のもとでの相対ではなく、ともに治癒に向けて頑張るという側面も必要です。
対等!かと言われると、これが必ずしも対等であれば上手く運ぶわけではなく、治療者と患者がリスペクトの意も含みながらの受け入れるという姿勢は不可欠です。
権力に抑えられてしまうことは、意に反した方向に行きがちですので、そこは過去の経緯も含めて反省の立場に立ちますが、対等意識が強すぎる!これも、全くもって勘違いも甚だしいということになります。経験とキャリアと、その道のスペシャリストとしての意見に耳を傾ける姿勢を基本とし、しかしながら完全な人間にはいないわけですので、その一つを切り取って貶める行為は、結局何も建設的な発展には結びつきません。
この世の中は時として、誰にでもチャンスはあるという平等の前提には立っているものの、そこには純然たる格差はあるわけで、その格差は同じ土俵での時には金星は上げられても、順位として三役、横綱になれるわけではないのです。横綱も不甲斐ない負け方をすることもあります。それをもって、それ見たことかと攻撃するのは、本当に見苦しいばかりです。一つ勝って俺はすごいんだーといつまでも引っ張ってみても、結局は番付を上げるためには正当な成績が必要なのです。結局は、完全に格上に対しては、どうあがいても直ぐには追い越せないため、出し抜いて八百長をけしかけなけるような手段を選ばない手に出てしまう輩もいます。当然、実力に見合わないハリボテをつなぎ合わせ、着ぐるみを着ているわけですから、ハリボテを外されそうになったり、着ぐるみの綻びが出そうになると、猛然と防御反応を露呈します。ハリボテには柱も留め金も今にも壊れそうなのですから、自信がないわけです。
価値観が変われば身体が変わると言うのは、情報によって価値観や知識が変わることで、身体における反応も変わってくるのです。つまりはこれだけの情報社会!医学も身体機能に対する造詣も深くなっています。経験則の治療であっても、科学的に証明されることでホッとしたり、価値が上がることは多々あります。反面逆のパターンもあるわけで、また科学の上に新しい治療法が生まれることは間違いありません。AIの世界を見るにつけ、そして遺伝子治療やES細胞による治療を見るにつけ、根本的な解決による身体の変化は目を見張るものがあります。ロボットやハイテク機器をいかに使いこなせるかが、新しい理学療法士には求められてくることでしょう。デバイスやハブとしてどのタイミングでさじ加減で最初に導入するかという役割を人間が担うことになります。ロボットやAIはトライ&エラーを繰り返すわけで、その過程においてまで試用するわけにはいかないからです。そうすると多様性と視点の幅を身につけるための経験が必要となり、それは場数を踏む必要があるのです。最近はロジカルな思考にてコンピューターのCPUなどの情報処理のシステムを、そのまま人間に当てはめたようなコメンテーターが若手の論客として登場する場面が増えてきたように思います。共通しているのは既存のモードとは違う、世代間における明らかな差別化が出来るタイプです。メディアにおいてもオネエ系があれだけテレビに出ているのは、既存との違いによる希少性があるからです。ロジカルな思考には冗長性やわびさびなどの含みは入りません。抑揚も感情も極力ない方がスペックとしてはロジカルシンキングが出来ます。ただしそこには夢やロマンが感じられない一種アンドロイドのような冷たさを感じます。しかしながら、それは既存のものとの差別化であり、居場所なのです。彼らこそ受け入れられたそのキャラクターを演じていくことのジレンマはあるかもしれません。感情をどれだけ排除できるかが、生き残りのためには必須なのですが、やがてそれはさらにロジカルで尚且つ限りなく感情とも思える所作をロジカルに感じさせないような仕組みを持ったロボットに取って代わられることになるでしょう。
価値観が変わればと言うのは、例え年を取っても背中が丸くなりたくない!という方は多いです。系統発生と個体発生から考えても猿から始まりまた猿の姿勢に戻ることが自然の摂理ですが、見た目や時代の変遷のなかで人には欲があるわけで、そのあらゆる欲求が価値観を醸成し、姿勢そのものの見た目の良さ!が全ての世代に浸透しつつあります。むしろ若い人の方が姿勢の悪さがファッションかのようになっていて、個性として根付いてしまっているかのようです。しかしながら骨の変形や変性までも内在した姿勢変化はさすが望まないでしょうから、若いという中における精神的な心理的な揺らぎがそこには内在しているのでしょう。いずれにせよ価値観はその時代により違いがあり、時に世代間においてギャップを生みます。ジェネレーションギャップという言葉知っていても、自分がそこに陥っていることを自覚できる人はほぼいないのです。自らが頭が固くなっているとか、受け入れなくなっている、古くなっている、などと思いたくもないですし、思えないからです。自分は自分の考えによって判断して動いているのであって、洗脳されているわけでもコントロールされているわけでも烏合の衆かのように画一的ではない個であると思いたがるからです。またそれは立場によって見える景色が違うということもあります。
立場という場の違いにより、それは世代間ではない線引きが出来てしまいます。経験則のとは聞く見るだけではなく経験するということの必要性があり、その場の支配している空気を会得するということなのです。自分が常に主語となる人は、常に空気を支配しようとすることで周りを自分のペースに引きずりこみ膠着させていきます。その場が自分の思い通りになればなんでもいいわけですから、その場しのぎの過激な言動によって凌いでいくことになります。つまり、実力がないことを演じて勢いで持って行こうとするわけですので、真の空気をまとうリーダーとして不可欠な素養はありません。人はそこまで過激に押し通されると大半は押し込まれます。しかしながら民意がじわじわと押し返し、やがて気が付いた時には思いもよらないほどに包囲網が敷かれて、退散せざるを得なくなります。すでに気が付いた時には修復不可能であり、周りも絶対的に妥協しない戦線を貼ることになります。見た目はそれほど危険ではない普通の人たちが一度蜂起すると、それは国家を転覆させるほどの力になります。失脚・退散とはこのようなメカニズムにて起こるのです。一見、失脚したとしても反省するほどの思考を持ち合わせていないわけで、また都合よく解釈して別の環境でもっとうまくコントロールしようと暗躍することになります。社会的に抹殺されて真面目て気がつくというよりも逃げ場がなくなるのですが、そこまで一社会において組織において追い込みませんので、結局は脳は都合よく解釈することになるのです。

道場においての質問と要望は、やはり実技をより多くやってほしいということです。論理や理論よりも実技によって何かを体験したいという要望の多さは、この情報過多の時代において体験をベースとして擦り合わせていくための経験値を落とし込むための時間と熟成するための余裕がないからでしょう。つまりは体験不足を研修会にて補う必要があるのです、情報不足の一昔前であれば日々の感じることの考えることのシステムが発達しますが、現代においては情報は得るものではなく流すものです。捨てていく作業がメインであり、そのことをじっくりと吟味してから削除するというよな余裕はありません。

初回は特に足の内在筋に対して促通する実技をメインに入れましたが、実際に他動的に動かすことが大きく身体イメージを変容させ明らかな実感として顕在化するその体験は衝撃的であったようです。頭で考えると他動的な運動をベースとした促通は筋収縮という観点からは、量という点では物足りないものです。絶対量に比例して筋活動は増加しそして促通されるとされているからです。しかしながら固有の内在筋などは小さな短関節筋ですのでタオルギャザーなどの運動による、マスとしてまとまった筋収縮では相対的な関係性において固有の筋肉は際立たないのです。ということでさらに内在筋の実技を中心にこれからもススエていきたいと思います。


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運動連鎖道場®in北九州(門司)報告

2016/06 30 (Thu)

Category: 研修会(参加)報告

北九州道場 道場生からの質問コーナー 

本日北九州道場の第3回目を開催させていただきました。今回の道場では毎回質問を宿題として出していて、前回第2回目の質問を共有していきたいと思います。 

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質問1
 運動連鎖のアルゴリズム化して頂けると助かる。


Answer
 運動連鎖アプローチ®のアルゴリズム化つまり、問題を解くための手順を定式化した形にするということですね。フローチャート式に、つまりprotocol標準治療法ということになるでしょうか。どこを評価することで確実に機能的な身体になるかということの突き詰める手順となります。今の所現時点での私自身に確信としては、以下のようになります。

①抗重力にて評価する。立位がベター。:できるだけ短時間がベターだが、この立位のなかで姿勢制御・姿勢・アライメント・運動連鎖を総合的にみていきます。このなかでおおまかな身体のメカニズムを頭に入れ、どのような手順にて進めていくかのおおまかな計画をたてます。
②姿勢制御:矢状面・前額面・水平面を立位にてみます。次に膝関節そして距骨下関節の制御に対する連動性をみていきます。頸部回旋の肩甲骨連鎖をみます。この頸部の回旋にて上部平衡系を評価します。そして眼球運動と後頭下筋の収縮を確認します。
③片脚起立バランスと仙腸関節荷重動態:片脚起立にて仙腸関節の機能を評価します。SIJのimmobilityは非荷重になることも多く、左右荷重バランスの指標となります。
④背伸び評価:筋膜のテンションを評価します。関節のhypermobilityなど過度な動きに気をつけながら、あくまで軟部組織の伸張性をつなぎながら背伸びをしていきます。上肢を挙上して体側を交互に伸ばしていきます。そのなかで膜系の左右差を評価していきます。側方→ひねりを入れながら前後の膜系を伸ばしていきます。
⑤平衡バランス:バーなどに捕まって腰椎の前弯をキープしながらの背面のストレッチ、および側方ストレッチ、そして前面のストレッチと繰り返してきます。またバランスとしてプランク→四つ這い→ダウンドッグからの四肢バランスなどにつなげていきます。
 

質問2
 人それぞれいろんなパターンがあり、収縮を引き出したい部位をうまく活動させるにも他の部位の影響が関係しており、それらを先に評価、治療することが難しいと感じた。

Answer
 あらゆるパターンがあることを念頭において、これからも取り組んでいきましょう。プロトタイプのコンセプトと自由度の高い個別性を両睨みでとりんくんでいく必要があります。最初から決まり切った法則性やチャートがあるわけではなく、あくまでどこが問題なのかを漠然としたなかから見つけていくことになります。ある程度は手順を一定させる必要はありますが、ルーチン化してしまうとそれは「何とか法」になってしまい、結果的に狭い世界でのルールとしてのみ通用するだけに留まってしまいます。ほつれた糸をほぐすように、混沌としたなかから見つけていく作業は確かに雲を掴むようで、わけがわからなくなります。特に初学者においては益々分からないということになります。またこのような雲を掴むようなトレジャーハンターの発想は、自分の精神状態や状況が揃っていないと発揮できないことも度々です。特別な場で特別な状況において、定常状態よりさらに力が発揮できるような場面になります。しかしながら普段の臨床においては、特別なゾーンに入っての状態をいつも再現できるわけではありません。ある程度ルーチンに沿ってのミスのない確実性が求められます。臨床においては基本的な評価を定期定期にすることROMやMMTですね。そこから得られる普遍的な評価をベースとして着地点と発着点が変わらないことが必要になります。質問⑴でもそうですが、フローチャートの作成を進めていきたいと思います。


質問3 
 足部回内、回外、アーチの高さなどの現象は捉えられるようになってきましたが、姿勢や動作パターンの中で足部や股関節をどのように使っているのかまでは難しいです。以前より全体としての動作パターンを見ようとすることはできるようになってきたと感じます。

質問4
 患者様を診ていて足部回外→大腿筋膜張筋での側方バランスをしていると言う評価は行えるようになりましたが、なかなかそれを是正することは難しいです。

Answer
足部と姿勢や動作パターンとの連鎖をみるための切り口としては、前額面の姿勢制御になります。つまり人が人たる所以は二足直立歩行になるからです。この歩行において最も特徴的なのは前額面の動きです。前額面とは内外転ということになりますので、この内外転を有する関節は股関節であり、そして足部の回内外ということになります。もちろん回内外は純粋は内外転ではありませんが、立脚中期における荷重側における相対的な股関節内外転運動と相補するべく足部の回内外があるのです。具体的には骨盤が最も前額面にて移動するphaseにおいて足部は下肢に対して相対的に回内位となります。つまり本来、立脚期は骨盤の側方移動が伴うことを考えると外側荷重になりやすいのですが、バイオメカニクスとして最もエネルギー効率の良い歩きは、足部の相対的な回内位なのです。重心の移動や変移を最小限にすることが、歩行効率を上げることであるとするならば、骨盤の側方移動と足部の相対的な回内位は互いに相殺するべく機能しているといえます。



質問5
足底筋(母趾屈筋)の所で内在筋のパワーに見合った運動をとおっしゃっていましたが、普通のアウターに対する筋トレも併用する場合は内在筋目的の他動・軽い自動を行った後、底屈の筋力運動を行えばいいのでしょうか?


Answer
 筋出力をどこに焦点を合わせるかになってきます。一番狙っている筋肉の出力に合わせて周りの筋群も加減していきます、フォーカスする筋肉があまりにも弱い場合にはあらかじめ収縮を促してから全体の運動につなげるといいでしょう。

質問6
背中が曲がっていても膝が曲がっていない人は股関節も曲がっていないので改善しやすいとおっしゃっていましたがどういう理由で改善しやすいのかがわかりませんので教えていただきたいです。


Answer
 股関節のストラテジーが広いことで活動が広がります。つまり、持久性と持続力が高まるのです。股関節のストラテジーがあると、動きのキャパつまり姿勢制御の幅が広いのです。膝が曲がると前額面の幅が狭くなります。つまり矢状面のみの制御となり、それでいて上下にも狭くなる。曲がっているので当然低くなり、伸びにくくなる。伸びにくくなると足関節底屈つまり爪先立ちができなくなります。すると転倒も当然しやすくなってしまいます。

質問7
基本が大事なので健常人に行えるアプローチから入るのは当然と思いますが、70代や80代の方にできるようなアプローチも身に着けたいです。


Answer
 高齢者においても基本はリスク管理をメインとして、侵襲性の少ないアプローチから入ります。よって皮膚や浅筋膜からのアプローチが適応となります。普段の臨床では高齢者が多いですから、このような姿勢制御のアプローチも当然高齢者に応用するなかで効果判定をしています。高齢者においては幅が狭くなりますので、それだけミクロな変化をモニンタリングできるセインシティビティが求められます。数センチの動きから左右さや質の差を読み取れるようにしていくことが大切です。


質問8
足関節捻挫の既往があるかたに対して、足部内在筋の促通を行ったのですが反応が悪く感じました。なので、股関節の安定性させ足部を促通することで、反応や安定性が向上するのではと考えてアプローチを行うと、足部の反応もよかったと感じました。
足関節捻挫の既往があるかたに対しては私が実施したような内容のほうがよろしいでしょうか?
なにか傾向があれば教えて頂きたいです。


Answer
捻挫の場合には靭帯の緩みもあり関節が不安定になります、よって足底へのアプローチも要素としては必要ですが、外側のラインに対するアプローチ併用すること、そして立位の荷重関節としての左右への配慮も効果的です。

質問9
 腹臥位での大腰筋の機能改善方法について、道場では受講生同士で股関節伸展の出しやすさを訴えることができたので、エクササイズ中の効果判定と動作改善が可能でしたが、実際の臨床ではエクササイズ中の股関節伸展が楽に行えるという訴えを聞き出すことができず、動作改善に至ることが難しいです。


Answer
 伸びながら背筋をリラックスしながらという指示にて行うといいでしょう、慣れていない動きなので何に着目するかによって楽さが変わってきます。基本的には腰椎の機能を高めるということ、腰椎のカップリングモーションを最大限に生かしながら深層筋を足痛することで、より股関節伸展による腸腰筋の足痛がやりやすくなります。腰椎の椎間関節をうまく使うこと、そしてその椎間関節が離開しないような使い方を全方向にコントロールすること。それによって大腰筋は筋活動が高まり、そして腸骨筋は骨盤のin-flareを促しながら股関節運動を繰り返します。患者さんにおいては腰椎そのものがimmobilityであったり、深層筋が不活発であったりするので、股関節の伸展運動の前の仕込みが必要なのかもしれませんね。


質問10
 実際に治療しているとなにを持って「機能的」とするのかがわからなくなる場面に多く直面しました。


Answer
 最終的にはマッスル・ボーン筋肉と骨関節の動きの反応が指標となります。感覚的ですが触診の手応えとなりますね。その触診によって脳と反応が一致する同期する感覚が身につくと、機能的の最小単位が整っていることになります。
ただこの感覚というのは主観になりますので、イメージが大切で常に自分の意識のチャンネルを合わせていなければいけない世界になります。この意識のチャンネルそのものは非科学的ではあるので、再現性という点では不確実になってしまいます。特にこの主観の世界においては、年齢とともに当然落ちてくるものかもしれません。よってそこから得られた原理原則としての法則性を沢山覚えていって、より普遍的な内容を提供してければと思います。


質問11
立位を取れない人や痛みが強くて左右の重心移動での検査ができない場合はどうしたらいいのか?


Answer
 立位のとれない人も姿勢制御としての反応をみていきます。順方向か逆方向に刺激を入れたときどのような反応が起こるかをみていきましょう。つまり運動連鎖とは運動学的につじつまのあった動きであり、拮抗した操作においては矛盾を生じさせる入力となります。その矛盾に対して抗するベクトルが感じられる時には姿勢制御能力としては高いといえます。よって、座位では臥位でもいいので、その時の反応をみていきましょう。

質問12
アプローチ後すぐでは変化がみられましたが、持続しないことが多くありました。


Answer
 持続には気づくこと、awarenessの要素が必要となります。またその刺激やアプローチが、正しく効いているんだという作業手順を入れることです。それによって効いているという心理的な持続をもたらすことができます。また実際に身体運動としてセルフエクササイズをするとしたら、ボディワーク的なアプローチが効果的です。フォーマットとしてそして上達するという手順が盛り込まれているので、いわゆる運動療法というメディカルリハビリテーションのエクササイズは、つらくて大変で楽しくないという特徴があります。そこはリズムとテンポを重視して、その運動による筋肉の使い方というだけでなく連続性のあるシークエンスにするといいでしょう。つまりところそのエクササイズや運動を続けるための必然性をどれだけ高められるかが最も大切なのであり、方法論を生かすも殺すも導入方法が鍵を握っているのです。

質問13
実際に行ってみて腸腰筋の遠心性収縮をどのように患者様に指導及び徒手的に促していけば良いのかがわからなく是非とも教えていただきたいです。又、姿勢制御を運動連鎖にて評価しアプローチするにあたりどうしても今までの姿勢制御に依存する傾向にあると思います。どのようにフィードバックしていくのかを知りたいです。


Answer
腸腰筋の遠心性については股関節の伸展という視点にて大丈夫です。繊維によって求心性と遠心性に別れるとの文献もあり、しかしながら明確にスイッチされるわけではありませんので背筋がリラックスしたなかでの伸展運動ができれば消去法にて遠心性になります。

質問14
歩行時に腓骨筋、大腿筋膜腸筋に引っ張られる感じを訴える患者様がいて、扁平足もあり足部外側荷重たなっていた為、外反母趾パット+足部内側への荷重を促しています。内側への荷重はできていますが訴えに変化はありません。内側荷重を促さない方が良いcaseもあるのでしょうか?


Answer
 アーチが低下している場合には外側アーチの強化と安定性が必要となってきます。つまり外側アーチの強化つまりstabilityのアップが不可欠です。具体的には立方骨のアライメントを補正、そして立方骨に付着している筋群の促通が有効です。外側アーチの安定後に自然に内側への荷重が促されてきます。


質問15
 大臀筋のリリース方法。先生はターニングポイントの1つとして筋膜リリースを挙げていらっしゃいました。先生の筋膜リリースを実際に拝見したいです。


Answer
 筋膜として全体へのアプローチが必要となってきます、全体へのアプローチは全身の問題点をあげて関連性はわからないまでも修正していくことでどう変わるかをみていきます。また膜という観点からは膜のテンションを均一化することでアプローチしていくことで集約していくことがあります。またルーチンとしてメジャーな部位をアプローチしていく体系に準じることもできます。もっとも難しいのはAI並みの分析力によっていく万通りの組み合わせのなかで抽出していくやり方です。少しでもその人のベストな連鎖を導き出せていくことが理想です。最終的にはAIに委ねることになるかもしれません。

質問16
 外反や足部外転の可動域が乏しく回内が難しそうな人や膝に痛みがあって足→膝→股関節と連鎖がうまくいかない人がいて難しく感じました。


Answer
 まずは内在的な運動連鎖として皮膚や筋膜からのアプローチにて環境を整え、それから姿勢制御の評価ができる身体に戻すことが大切です。


質問17
 足の内在筋のアプローチの仕方があれば教えて欲しいです。


Answer
 足部の内在筋を一つ一つ単独にて自動運動することが困難です。全体的に集合して動くことになります。よって足部の内在筋の一つ一つについて、単独の筋肉をいかに働かせるかということの方法としては全て同じで、解剖学の図を参考に起始と停止部を他動的に近づけるようにします。筋肉のベクトルにダイレクトに近接するような操作ができると、自ずと筋活動が生じてきます。


「まとめ」
 全体としての部分については、ルーチンの評価からだけでは統合が難しいです。集中して創造していくことが必要です。イメージのなかで統合していくメンタリティが不可欠となってきます。やはりそれでも必要となるのは触診となります。立位での抗重力での評価にて初めてそれがわかります。意図的な操作と意識してもらうことと、つまりバイオメニクス、筋収縮そして意識の三点セットにてアプローチしながら全体としての統合を作っていきます。全体としては体幹プラスもしくは膜のテンションプラス、膜のテンションとは伸張性となりますので伸びになりますね、elongationがもっとも全身性への膜のテンションを高める方法になります。
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運動連鎖道場19期修了しました。皆さまお疲れ様でした!

2016/06 03 (Fri)

Category: 研修会(参加)報告

半年間の運動連鎖道場、昨日の6月2日にて修了いたしました。20名あまりの道場生の方々が月一の平日に海老名と相模大野にご参集いただき、本当にお疲れ様でした。


タクタイルの重要性


本日のテーマは頭蓋と顔面および顎関節となります。

運動連鎖道場においては触診の重要性を力説しておりますが、今後ロボット産業やAI人工知能そして3Dセンシングなどの新たな産業革命ともいっていい領域に踏み出す人類において、運動連鎖の知見は間違いなく貢献できると思っています。


つまり、運動連鎖道場においては観察的な動作分析ばかりではなく、内在的な運動連鎖としての動態について解説しています。何故にパルペーションが大切なのか?触診には解剖学的な領域とがメインですが、生きている人間に対してその動態を感知するための、またはモニタリングし誘導する、そして動きを誘うためのタクタイル(触知・感触)があります。つまり人間というセンサーを通じて集積されるタクタイルなのです。


このタクタイルにおいて、特に頭蓋顔面を触る場合可動生があるわけではありませんので、その評価は弾力性ということになります。つまり弾力性とはmobilityの感覚に近いものです。そして頭蓋を触る基準として最も大切な原則は


変位のある方向に弾力性(mobility)がある。






弾力性(mobility)のある方向に変位がある。


ということです。この原則が最も適応となるのが頭蓋顔面ということになります。

その派生として応用として四肢体幹などへの繊細なタクタイルへとつながるのです。


そしてこの原則に則って評価したならば、さらにどのようなアプローチ思考へと展開すべきか?

考え方としては大きく以下の三つになります。


変位と反対方向に修正する






変位を増長するように敢えて誘導する






XYX三次元のベクトルに分割して、その中の一ベクトルに対してアプローチする



そして運動連鎖としてさらに考慮するべきこととしては


(局所)部分のなかでの病態






(隣接部位)前後左右上下の連鎖






(全体)姿勢制御としての連動性


ということになります。


このような知見を後世に残していくためにもICTの技術が不可欠なのです。達人と匠の領域は常に人間に対する興味と探求を促す原動力ではあるものの、その財産をつなげていくことこそが歴史をつむいでいき尊厳とリスペクトをもって生きていける社会へとつながっていくものなのです。


一発でよくするということで100%が得られることはありません。上記のあらゆることを考慮していくことでここで10%ここで20%というように積みあげていき100%に近づけていくのです。


つまり即効的に良くなる、変わるということの現象について余り取り沙汰されなくなってきた風潮に背景には、それは結局完治には至らないことが多いということと、一時の驚きはあるもののまた直ぐに戻ってしまう現実に皆が気がついてきたからです。それでもまだ一発で良くなる結果が出るといううたい文句は魅力的ですが、そんな簡単なものではないことは経験を積めば誰もがわかることなのです。


運動連鎖道場の最終日にはまずは咬合や顎関節に関連する機能障害とリハビリにおいていかに関係しているかということについて解説しました。確かに顎や頭蓋や顔面をみるということについては、ある領域からみると大切なのですが、本当に日々の臨床において必要不可欠なのか?特にリハビリという現場において特に見てこなかった部分を敢えて加えていく意義はなんなのか?つまりはなんでも勉強するとプラスにはなるものの、その必然性こそが大切なので。必然性をいかに高めるかということにおいて、初めて得た知識と技術が生きてくるのです。


脳血管疾患においても上位頚椎に付随する後頭下筋群の脂肪化が進行する、半側空間無視の患者さんにおいても後頭下筋群へのアプローチが時に線分抹消テストの点数を改善させることにつながることがあるようです。あくまで考察ですが、脳卒中において一度中枢と抹消が分断された場合、すでに脳においてはアクセス可能な状態にまで回復していたとしても、抹消からの再アクセスがなければ開通しないということなのかもしれません。つまりはトンネルは両方向から掘り進めていくことが大切だということです。頭部外などにおいて一時的に大きな損傷を受けて、そのご劇的に回復していくケースにおいては、後からの刺激をいかに入れていくかが大切であることがわかります。つまりは本来は個体発生をみてもわかるように、1年をかけて立ち上がり歩き出す行程のなかに、あらゆる運動連鎖を醸成させる期間があるのです。成人の場合にはすでに生活場面のための合目的な動作から入ることになるので、赤ちゃんのような行程を踏むことができません。神経が未成熟であるがゆえにその時に必要なはったう運動学的な刺激があり、そしてできることが制限されることで過負荷にならないようにそして誤用にならないような仕組みが作り上げられているのです。それこそが人類の叡智というか、生命の叡智ともいうべき奇跡なのです。


実際の臨床において頭蓋顔面や顎関節をどのように取り込んでいけばいいのか?我々が健康増進やリラクゼーションという意味においてエステティックに受ける分には本当に気持ちよく快適になります。しかしながら患者や利用者さんいおいてはあくまで生活動作ということの視点が第一になるなかで、楽になる心地よいというその視点が医療保険や介護保険のなかでやるべきことがどうか?ということです。つまり何でも効果的である大切であるということと、本来やるべきことであるかどうかということとは別なのです。


まずはST領域において口腔嚥下は必要不可欠で姿勢は欠かせません。そのなかで頚部の解剖や運動学について、さらに頭蓋や顎と頚椎との連鎖についての知見はきっと役に立つでしょう。


顎関節ー上位頚椎ー眼球運動


この連鎖性を常に念頭において考えることが、理学療法において頭蓋を扱うことの意味をより高めてくれることになります。顎の開閉において頭蓋のわずかな屈伸は不可欠であり、そして眼球運動においても後頭下筋群や前頭下筋群の働きは必要不可欠です。つまり生命において基本的な行為は探索活動であり、そのための眼球運動なのです。視線が向けてそこから頚部が動いて、体感や四肢が立ち直り平衡反応にて呼応していくことで我々は目的動作を遂行しているのです。


そしてリハビリとは能動的という大原則があります。時にassistやpassiveも入りますが、それはあくまでactiveにつなげていくための序章であるからです。つまり運動連鎖アプローチ®においては、能動的に頭蓋においてもアプローチできるということ、つまり運動療法に転化させることが原則となるのです。このようにどうあるべきかという立ち位置に立って、そこからその方法論をどのように取り込むかということがあって、はじめて自らの領域に応用できるということになるのです。


これからもさらに道場性のための、アップデートしていける道筋を示していきたいと思います。

本当に半年間お疲れ様でした。


またインソールのセミナーについての要望も高かったので12月にも会場を予約して開催する予定です。

coming  soon


See you later


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痛みのセミナー2報告

2015/12 31 (Thu)

Category: 研修会(参加)報告

年末の差し迫った12月27日日曜日、専門学校社会医療技術学院をお借りしての
疼痛の評価とその臨床的意義
~生理学・脳神経科学・運動連鎖から痛みを解き明かす~PART2
を開催させていただきました。



タイムスケジュールは以下の通りです。
10:30~12:00 『疼痛閾値の診断・評価方法とその意義』
~疼痛閾値の評価手順と運動制御との関係について~
塩澤伸一郎 (日本リハビリテーション振興会・専門学校社会医学技術学院 教員)

13:00~14:30 『CRPSのpitfall -鑑別を要する腱鞘炎由来のStiff hand-』
阿部幸一郎(東京手の外科・スポーツ医学研究所.作業療法士.認定ハンドセラピスト.
HAND maintenance studio(代表))

14:45~16:15 『症例報告』スポーツ障害における痛みの機序と考え方
山本尚司 (一般社団法人フィジオ運動連鎖アプローチ協会代表)

阿部先生は私にとっては慈恵医大時代からの先輩であり25年来の、そして塩沢先生は相模原協同病院時代からこれまた20年来のおつきあいになります。そのそれぞれの突き詰めた臨床および研究ということだけではなく、その生き方と矜持について大変刺激を受けました。それぞれが認めあい、そしてリスペクトしあえる関係性が、20年の時を超えてコラボという形で実現できることに改めて感謝ですね。

内容についてですが午前中は塩沢先生からの講義です。
生理学について突き詰めてきたその結晶の一部を示してただきましたが、このような痛みと生理学そして理学療法における臨床という観点から合計30回は話ができるというほどの蓄積をもっての一コマでした。活動背景が世界であり、世界のあらゆる研究室とつながりをもって探求し、そして作り上げたネットワークはにわかでは到底およぼもつかない領域であり、さすがだと思わされます。全く私とは違う山を登ってそして、やすやすとは届かないところにいるんだなということがわかります。
テーマを三つに分けて講義をいただきました。
①疼痛の評価
②筋骨格系の疼痛と疼痛閾値
③疼痛閾値と運動

疼痛の評価としては、まずはオーソドックスな知識のおさらいです。急性か慢性かといった病歴についての確認ですね。そして疲労という視点、炎症という視点、これらを総合的に考慮しながら現在の軟部組織の状態について推測し、そして臨床における方針をたてていくことになります。痛みについては安静時・運動時・圧痛などの質的な病態についても明らかにしていきます。

疼痛閾値というのは変動するものであり、主観的な表象であったりまします。しかしながら定量的に絶対値としての評価とともに主観的な自覚的強度についてのすり合わせが理想となります。

今回紹介された評価しようとしては、von freyによる疼痛の評価となります。作業療法のなかでは触圧覚の検査として用いられるとのことですが、塩沢先生によるとこの検査において痛みにフォーカスをあてて実施するとのことです。フィラメントを対象部位にあてて疼痛の有無を答えてもらうというものです。

そして最も推奨していたものとしては、PPT:Pressure Pain Thresholdです。圧を加えて痛みの閾値を測定するということですね。単位はPa表示です。なんでもソメディックという海外の会社の製品のようでアルゴメーターという商品名になります。日本ではバイオリサーチセンターという会社が輸入元として取り扱っているようで定価は50万円だそうです。

痛みの伝導路は脊髄から視床への経路になります。Aδ繊維は脊髄後角から入り対側に交差して上行します。疼痛発生は抹消の組織であったりするわけですが、痛みの自覚は間違いなく脳内で表象されているわけで、それが伝導路を経由しているわけです。そこに生理学的な機序が必ず働いているわけで、最終的には自覚的な痛みの訴えとしては脳内の可逆的な変化などによって閾値が変わってくると言えます。

今回、興味深い研究知見の紹介がありましたが、膝OAに患者において膝関節そのものが疼痛閾値が低下しているという現象はなんとなくそうだろうと納得しますが、実際には膝以外の前腕においても疼痛閾値が低下しているということでした。別に前腕に特化したというわけではなく、研究上測定した部位が前腕であったということです。このような波及するような現象をスプレッティング(Spreading)拡散する、といいます。
結論としては筋骨格系疼痛が神経の活性化を変化させ(疼痛閾値を低下)、患部外の広範囲におよぶということです(Skou2013)。術後変形性膝関節症の特性として術後TKA後にも痛みが残存し(10~30%)スプレッティングもしかりです。痛みの原因が取り除かれているにもかかわらず、痛みは残存するということにおいては、軟骨の痛みだけではなく術後の侵襲性における痛みもあるので、このあたりの論理展開が患部から全ての痛みが取り除かれているにもかかわらずという論理展開には少し疑問が残るところではありました。評価はPPTによって実施されているので、関節周囲の軟部組織ということになります。OAの痛みの原因が軟骨だけではなく、ストレスのかかる軟部組織が全ての対象になるはずです。いずれにせよ手術をして即痛みが解決するわけではないということでもあり、軽減することは間違いないということでもあります。またTKAのほうが連続した圧刺激において痛みが増強するということだそうです。これは手術ということにおける何かが影響しているということでしょうか?つまり心理的にナイーブになっているなど、患部においては意識的にも確かに気になりますよね。臨床においてはデーターへの解釈はあらゆる要因を加味して考える必要があります。

このように疼痛閾値を評価することで、手術前後に影響を与えることを考えるが明らかになっています。よって、疼痛閾値が低下している段階で手術をするということは術後の経過に大きく影響を及ぼすことになります。よってレントゲンなどの所見だけではなくこのような疼痛閾値を改善することで、さらに術後成績を向上させることができることが考えられるのです。このなかで評価指標としてPPTは有意な指標である(p<0.001)ことが研究されています(kuni2015)。

患者においても痛覚過敏から、さらに非侵襲性の刺激に対しても痛みを感じるアロディニアに至ることもあります。アロディニアも静的と動的があるようで、静的にはC繊維・Aδ繊維が、また動的にはAβ繊維が関係しています。

難治性の痛みには繊維性筋痛症がありますが、疼痛閾値と筋力発揮には正の相関があることも研究データーとして発表されています。

痛みの生理学的な要因としてNGF(nerve growth factor; 神経成長因子)が考えられるとのことです。脊髄の後核にNGFを投与すると痛みの閾値が低下することが実験結果により明らかにされています。つまりは痛みの要因として脊髄レベルの関与が考えられるということです。

錯覚が疼痛閾値を変えることも多数の報告がされており、このことからも大脳皮質の関係が考えられます。このように痛みの要因は抹消ー脊髄ー脳という多角的な視点にて考えなければいけない。ミラーセラピーなどがある意味その効果を応用しているセラピーであるといえます。

疼痛閾値の改善のための方法は多岐に渡します。徒手療法も物理療法も心理療法もあらゆるモダリティーにてアプローチできます。だから心理社会モデルとして慢性疼痛を考えなければいけないのでしょう。
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脳卒中片麻痺患者の起居動作と生活動作

2015/09 28 (Mon)

Category: 研修会(参加)報告

シルバーウィークの後半2日間、埼玉教育会館にて伊藤克浩先生によります「脳卒中片麻痺患者の起居動作と生活動作」の研修会にて講義と実技を披露いただきました。
 伊藤克浩先生はご存知、ボバース協会の会長であり、協会の理事としても職能業務執行理事として国に対する要望書をまとめ上げ、理学療法士のために闘っておられる姿を間近で拝見しておりました。この、業界のために本当にイノベーションを起こそうとするならば、教育 、研究 、技術 、職能、政治、全てに精通していることが必要です。我々は職人としてのカラーが色濃い職能集団です。特に若い方で自信を持つことの最大の素養は臨床にあります。この臨床能力を盾に職能を語るまたは自らの気づきの過程や、影響を受けたことのインスパイアを発信し共感を得る。概ねこのパターンになります。SNSなどで目立つのはこのタイプです。そしてあたかも自らがメインストリートを走っているかのように…。ところがストリートは、本当は京都の碁盤の目のようにはりめぐされており、研究に力点を置くもの、職能でも地域に根ざし病院から社会に出ていう可能性を広げるもの、JICAなど海外での活動を通してグローバルリズムに展開しているもの、様々な理学療法士としての価値があります。理学療法士の専門学校を出て、そして純粋にそのまま理学療法士になるのはおそらく心身ともに生え抜きとなります。大学になると一般教養科目が増え、また他の学部生と交流も持てるのでサークル活動などを通して、少し視野は広くなるかもしれません。学校教育の臨床現場のそして、臨床を磨くということは凄く全うなことでありながら、身につけなければならない素養や教養は社会に出てから自らが選択して出ていかなければなりません。つまり責任を持つということにおいて、職人としての背中を見て学べというような、時として大きな組織に対する旗手になることも多々ありました。臨床を極めるが故の辿りついた境地!その尽力と努力は人の知らない何かを得たという、その人にしかわからない何かです。そのたどり着いたと思っている?一つの視点から物事を、なっとらん!できていないと非難することになりがちです。私自身が現状へのアンチテーゼがベースとなり運動連鎖アプローチ研究会を、立ち上げた経緯があり、若い時には現状の打破!という行動に出ます。しかしながら、それはこの業界の進むべき道を真ん中に戻したいという思いがあったからです。恐れ多い発想ですが、振り幅のとちらか端になると、それはバランスを欠くことになるので、センタリング王道としてのバランスを保ちたいと思うわけです。その真ん中は振り幅が大きくなればなるほど、より太く大きくなります。
個性的な先輩方を見て育った自身てしては、自らの理念やあるべき姿を思う気概を、その背中に感じることができました。それは真剣に理学療法士としての未来を考えてのものです。
ところが最近は自己というものがキーワードになり、自己顕示欲という実は半径2メートルぐらいのスケールです。SNSになると世界とつながっているように思えますが、実のところ誇張と誇大が繰り返され、その思考と活動における発展性は周辺に止まります。それは10年後の姿を見れば明らかになります。
その職人的な理学療法とはかくあるものだ!と臨床能力イコール理学療法士としての価値という自負が実は職能や政治という視点に向かわなかった最大の理由ともなっています。現在は職能と政治についても、格段の進歩を見せています。その恩恵の元に理学療法はあるのですが、普段我々が政治に無関心であるようにインフラや公共機関そのものに感謝することはありません。当たり前だからです。あることが。そして自らが特に誰の世話になっているわけでもないように感じてしまう…誰かの世話にものすごくなっているように思えないのです。身近な家族や同僚ならまだしも、少し離れると上司や理事長、行政の役人、国と規模が大きくなるとますます感じられなくなります。そしてその大きな存在は、大方現状への不満の矛先になります。最近は、そのプロパガンダは理学療法ではなく、その目的は自分への先導なのです。
このような言動が先鋭的になってくるのは、自らの危機感が背景にあるのです。つまり不安が大きくなればなるほど求心力を保つために、先鋭的になってくるのです。その先には協調性や共存といった視点は皆無で、あくまで都合の良いところや自らが目立つところだけは出てきます。
不満や批判という隠れ蓑にて、表向きは業界を変えよう!ですが、実のところ職能集団としての霧散と対外的な力の低下になっていくのです。つまり掲げたプラカードは何も功をそうしないのです。

話が長くなりましたが、伊藤先生は理学療法の創生期からみると、創生期に限りなく近い世代となるでしょう。そして創生期からの薫陶を受けついだ世代になると思います。私もおそらく、そこに入ってきます。つまり、時代の流れが早くそのなかでバブルやリーマンショックそして医療介護の改定が次々に敢行され、激動のなかを臨床に管理者として運営に、教育に、そしてそのなかで培った理学療法士としての確信をもって、職能拡大のための政治というステージに活動の場を展開していることになります。インターネットやスマホなどともすれば、それだけでついてこれない世代がいてもおかしくないなかで、見事にその情報発信ツールを使いこなし、そして機微に時代の流れを読み解いています。

伊藤先生の講義と実技を聴講し体験するなかで、相当な見識の広さと比較検討、つまりあらゆる情報に対する受容と選択の繰り返しをされてきたことが伺い知れます。

実は一つの技術や知識にて極める以上に難しいことは、時代の選択として何を見て何を取り入れそして歩んでいくかということになります。何かの考え方や思考パターンに陥ると、人はその思考に囚われ排他的になります。そのバランスや客観性はどんなに本を読んでも、勉強をしても手に入れることは難しく、日々の実践のなかでの繰り返しになるのです。
私など及びもつかないほどの経験と場面のなかで培われた、臨床感であることは疑いようの余地がありません。
つまり、職人でありながら職人たる枠に収まらず、理学療法・リハビリテーションの根源へと行き着き、そしてそのためには社会のあり方、理学療法士を取り巻く環境や医療介護保険のあり方、のための行政や政治への参画などに行き着くのです。
理学療法士は自らのやりたい事に固執する傾向にあります。やるべきことではなく、やりたいことに偏るのです。やらなければならないこと、よりも自分の自己顕示欲による、一攫千金、一躍スターダムにのし上がる手段としてその欲求を叶えるツールとなりがちです。それは理学療法ではないベンチャー起業などの成功体験と、自らの立場を重ね合わせてしまうのです。あらゆる情報やあらゆる成功本が山ほどあり、理学療法士も経営の本やあらゆる自己啓発や自己成長のためのセミナーや本があります。またそのようなセミナー講師やセミナーも増えており、リハビリ業界にも波及しつつあります。市場があれば今やどこでも侵食するのが当たり前の時代ですので、本文を忘れて、いかようにも洗脳されるのです。そして何が悪いんだ!と正当性を自己完結させます。つまりは理学療法士そのものが社会的に高い地位があればなんらそんな発想にはならないのですが、なまじっか治療法として巷に類似した業種があるものだから、勘違いするのです。鍼灸や柔整は開業権があるじゃないか!整体は無資格じゃないか!なぜ理学療法士はダメなんだ!おいおい!その論法が世界の理学療法士の中で通じると思うか?世界の理学療法の質と信頼を貶める行為だよ。そんな、一見論理的に筋が通っているかのような、都合のよい日本の事情など知ったことじゃないんだよ。何もないところから理学療法士そのものが独立開業することの資質を構築する時に、今のままでいいと思うか?6年生の医師がいるにもかかわらず、我々の教育課程でいいと思うか?鍼灸や柔整と理学療法士では歴史も経緯も違うんだよ。50年の歴史しかない、後から入ってきた理学療法士が、周りの先駆者により追随するには同じ条件ではなく、より高いレベルの教育課程による全ての国民や世界の理学療法士に冠たる存在でなければ、ただの個人のスタンドプレーだろう。それなら理学療法士にこだわる意味がわからない。別にそんなに問題だというならば、さっさと医学部に入って、鍼灸柔整を取ればいい。海外では理学療法士が鍼を使えるライセンスを有しているところがありますが、それはすでに日本では鍼灸師がいるんですよ。自分目線の見方しかできない、つまりその権利があるかのように勘違いしている輩がちらほら見受けられます。それは一部なんですけどね。大半は真っ当な理学療法士としての真理を追究しています。真っ当に進んでいる人たちは、そんなに吠えたりしませんから。論点が技術やテクニック論に偏りがちで、それは全て自己目線。本当に社会や患者さんからの目線に立てているのか?目の前のクライアントからの賞賛とニーズにのみにて構成された論法は、近視眼的であり最早、専門家とは言えない資質です。さっさと整体師と名乗って理学療法士にこだわらなければいいだけなのです。患者を良くすることが本分なら職業にこだわる必要はないでしょう。理学療法士は理学療法士としての日本の事情とそして世界の事情を鑑みて粛々と歩みを進めるのみです。もっと自らの道に自信を持つことです。その明るい未来を必ず実現するために、あらゆる思いをそのマグマを未来に向かって結集させないでどうするんですか?

皆さんの不満は我々の治療家としての認知でしょう。治せる専門家としての確立を求めているのでしょう。そのために個々の資質やレベルをという論法は私が理学療法士になった四半世紀以来延々と続けています。残念ながら常にその尽力はいつの時代でも繰り返され、そして素晴らしい臨床家とされる人たちは山ほど出てきました。何も今の時代に特別声をあげて叫んでいるわけではないのです。先人の積み上げの元に、インフラ整備されその道を歩んでいることを忘れてはいけません。
常にイノベーションか、求められていることは明らかであり過去の何かに囚われない発想も必要ですが、思いつきにて発する前にしっかりと歴史を検証しこの世界が業界が歩んできた道と性格を把握し、共能して一致団結なくして未来はないのです。会員か10万人、そして高い組織率を誇っていることが、どれだけアドバンテージになっているか。そのことの事実とそして今は職域を取りに行くために国と地域のニーズにアクセスすることが必要な時期なのです。我々のやりたいことを提供するのではなく、望まれている形に適応して提供することにより、そしてらそれは専門家としての矜持を持ちつつです。そして受け入れてくれるパイを獲得したのちに、本当にやりたいことを推し進めていくのです。顧客が居なければ全ては絵に描いたモチです。テクニカルや治療技術偏重では我々の職域を拡大させることはできません。リスペクトや他人を認めること、時には賞賛なくしては発展するはずがない。このような輩は往々にして自分目線のみのアウトのみです。

研修会報告のつもりでしたが、伊藤先生にはその臨床家としての矜持とともに、我々の未来を常に視野に入れて闘っておられる理学療法士の先人です。そのことが私にとって素晴らしい技術以上に心にのこりました。

内容につきましては、また続編にてお届けします。
Thread: 心と身体の健康と運動・武術・武道 心と身体
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第29回臨床理学療法研究会 報告

2014/12 17 (Wed)

Category: 研修会(参加)報告

「ロコモティブシンドロームのメカニズムと運動連鎖」~姿勢制御とストラテジーからのアプローチ~

12月13日 土曜日~12月14日 日曜日 
二日間の日程にて開催していただきました。


12/13土曜日
①ロコモティブシンドロームのメカニズムと運動連鎖の基礎(講義)
運動連鎖からみなロコモティブシンドロームのメカニズムについて解説します。
②姿勢制御の基礎⑴
~矢状面~(実技)
矢状面からみた姿勢制御の見方を徹底演習します。
③姿勢制御の基礎⑵
~前額面~(実技)
前状面からみた姿勢制御の見方を徹底演習します。


12/14日曜日
⑤姿勢制御の基礎⑶
~代償運動の見方~
姿勢制御の代償運動に着目して、姿勢制御の見方をさらに深めます。

⑥姿勢制御の臨床応用⑴
~重心のコントロール~
重心のコントロールという観点から、具体的なアプローチ方法について学びます。

⑦姿勢制御の臨床応用⑵
~身体軸へのアプローチ~
身体軸のコントロールという観点から、具体的なアプローチ方法について学びます。

⑧姿勢制御からみた運動連鎖アプローチ~質疑応答~
参加者との臨床における疑問など質疑応答を通して、運動連鎖アプローチからみた姿勢制御の考え方を整理し、明日からの臨床に活かしていきます。

元を辿れば17年前、同じく滋賀医療技術専門学校にて福井 勉先生の助手?としてお供させていただいたことにあります。その当時は経験年数7~8年、まだ私も講師活動などは全くやっていない時ですので、福井 勉先生にとってもかなり懐の深い選択であったと思われます。私のために、小一時間ぐらいはとっていただいたように記憶しています。きっと勢いだけで自己満足に話していたのでしょうね(笑)。

その時に臨床理学療法研究会の代表をされています、山崎敦先生に初めてお会いしました。私よりも理学療法士としては先輩になりますので、ここまで継続されていることに感服です。またその理念や情熱が全く変わっておらず、若い後輩達に引き継がれていることが分かります。
浜松でもとある勉強会に呼んでいただいた時に、既に還暦を迎えようとされている先生が若手の運営を見守っている様を見て、脈々と引き継がれている遺伝子を感じます。
伝統的な世襲がいいのか、新しくイノベーションがいいのか?各々がそれぞれの役割を果たしているということでしょう。
年功序列、終身雇用、の後に来た波が、能力主義、人事考課、ベンチャー、無駄を省く効率化です。J&Jなどの企業が病院のコンサルに入り、バッサバッサと経費を削減していきました。

ところがご存知の通り、日本の文化にはそぐわないところがあり、またベンチャーも育ちにくいシステムが日本の伝統にはあったようで、最近では公務員の安定が人気となっています。ベンチャー真っ盛りの時は、公務員というのはむしろ保守的な代表かのように敬遠されていたにも関わらずです。

リハビリ業界も一時期独立開業という夢にうなされましたが、最近はより社会に通じる起業を目指すようになってきました。集金システムとしての研修会事業による、自己顕示欲を満たすための野心セミナーから、社会に役立つ企業としての理念です。

運動連鎖アプローチ協会においても、より社会に役立てる組織としての脱皮が求められてきます。

研修会を開催する団体としての老舗は、もともとは事業ではなく研鑽のための場としての提供であったはずです。研修会事業となると、集客システムや名簿管理、得られるメリットやライセンス、認定や開催権利などがチラついてきます。

理念だけでは現実的に予算が足りなくなれば、あっという間に事業は頓挫してしまいます。経営や運営手腕というものがなければ、その理念も伝わりませんし説得力がありません。

よってコンビニでは、成功読本や心理学による人心掌握術などのマニュアルがわんさかと出ています。

そのテクニカルは、あくまで効率的な統計であり確率です。臨床がエビデンスや統計に全て依存しても、結果的に個々の事例においてはケースバイケースなように、返って患者にとっての満足度には繋がらないこともあります。

しかしながら、医学となると学問ですので何が真理かを探求しなければなりません。内科や外科の専門書があんなに分厚くて何巻もあるのは、まさに人類の積み重ねそのものであり、それが一個人の思い込みが読本に詰まってしまっては教科書として普遍的な知識を与えることはできないのです。

我々が提供する運動連鎖アプローチは科学かと言われれば、あくまで経験値です。しかしながら、アートで牽引するという気概と、その本来あるべきメリットと課題と、その立ち位置を把握して意識しておくことが大切なのです。そして、アートもサイエンスも理念と哲学により結びついていることが不可欠なのです。

リハビリ業界においては理念と哲学が欠けていることは、カイロプラクティックやオステオパシー、東洋医学の世界を見ることで自覚していましたので、先ずは理念と哲学を掲げて強調することを、運動連鎖アプローチにおいては進めています。

原理原則セミナーなどを開催してきたのは、何が正しくて何を、目指すべきことなのかが、分からなくなってしまう理学療法士が、たくさんいるからです。
つまり、各種方法論を学んでも、その、どれもが素晴らしい治療体系であるにも関わらず、理学療法士としてのアイデンティティーの構築にはならないというジレンマが生じてくるのです。

理学療法士としての専門性とは何か?理学療法の専門とは何か?20代の、大半をその思いの中でスポーツ現場やあらゆる業界を渡り歩く中で行き着いたのが、運動連鎖だったのです。ちょうど経験10年目を過ぎたあたりですね。

テクニカルの応酬では、真の目指すべき理学療法士にはなれない。各々の治療法がお互いを牽制しあっている、つばぜり合いをしている現状は患者不在と言わざるを得ません。つまり理学療法士の、役割とは何か?という問いに対して、楽になる方法とか、直ぐに身につく方法とか、明日から使えるという発想は、誰にとってのメリットなのか?ということです。研修会を受ける側のメリットは、患者にとってのメリットにつながっているのか?セミナーを受ける人に対して、一時的に受ける方法を提供するだけに終わっていないか?その場のセミナー講師の自己満足にのみ陥っていないか?簡単に手に入るものは身につきません。
テクニカルセミナーの末路は、しばらくすると全ての患者さんに適応しない、効かなくなる、患者さんに対して目新しさがなくなる。治療やグッズもブームがあるように、本来ならば効くものは延々と残っていくはずものが、ポピュリズムに陥ったものは一時的であり、やがて廃れていきます。そこに考え方や臨床思考過程、臨床推論が伴わなければ、方法論だけでは恒久的に残っていくことはないのです。

これからは何千もあるセミナーの中で、本当に理学療法士としての進むべき道を示してくれるものだけが残っていく時代に突入します。

講師陣を並べて、集客のできる人を呼んで開催することも一つの手ですが、何千もセミナーがあるのですから、自ずと講師は足りなくなり、必然的に誰でも話せる状況になってきます。一度講師の旨みを知ってしまうと、生徒になることができなくなるのです。若い段階で既に生徒になれないのであれば、それは成長は止まったと同じです。医師の学会や研修会に院長レベルがわんさかと来ている現状と比べ、果たしてこんなにも若い講師が話せる業界が、どこにあるでしょうか?

各々の業界の事情があるのですから、仕方ありませんが、そういった現状にあることを自覚しなければ、若くして勘違いしてしまいます。俺は偉いんだと…私はこの年齢ですが、一度もその自覚はありません。上に立っているという自覚のなさが、それがまた今になっては問題なのですが、メリットも多々あったことでしょう。いつでも、どこでも、下に下がれる勇気と誰からも学べる姿勢です。これは勇気ですね。何度も意図的に自分をそのように戒めたことがあります。


例えば初めての病院勤務は、経験があるからといって特別扱いはありません。返って邪魔になります。一から学び取る姿勢がなければ、経験は形骸化になります。
東北の被災地活動もスボーツ現場もそうですが、自らの価値観を押し付けては邪魔になるだけです。
被災地での、仮設住宅などは毎回初めてになりますので、そのことが毎回試されます。
私は研修会に参加するときは、本当に生徒になってますので、全くもって素であになっています。自分がという表現が文章に多くなるのは、これも自己顕示何ですけどね。最初はそのつもりがなくても、書いているうちに口に出しているうちにその気になってしまう脳の怖さがあります。

結局は全ては既存のアンチテーゼから始まり、そして支持をえるのですが、いざ、政権を担ってみるとガタガタだったという事例もありますので、それは他人事ではなく実は自分にも身近に起こっていることかもしれない…当事者意識を持つことです。世間で起きていることは、決して特別なことではなく、結局は人の心理や思考が起こしていることなのです。それは、全ては我々の延長線上にあることなのです。

私も運動連鎖アプローチ研究会を立ち上げた時は、
①何故同じ人ばかりが延々と話しているんだ?→それではその人の考え方や指示があるまで待っているだけで、その関係性は延々と変わらないじゃないか?→人材発掘と人材育成!
つまり、名だたる人でなくても臨床で素晴らしい人はたくさんいることも知っていましたので、そういった人を発掘して世の中に出すべきだろう!また育成するべきだろう!
ところが、臨床で素晴らしい取り組みをしている人は謙虚だったのです。よっていくら担ぎ上げようとしても「いやいや自分なんか、まだまだで・・・」という返答が帰ってきました。研究論文などの学術的な結果を有していないと、とても人前では喋れないという時代でしたので、確かに確固たるデーターを有していないということは経験論にて語るだけの立場になってしまいます。
それでも、若手や後輩で信念を感じれる軸を感じる人は積極的に登用して、人前でプレゼンをしてもらいました。
またコラボレーションを企画することで、相乗効果として素晴らしい先生方がさらに力を発揮するという場を提供することに心がけました。
つまり、素晴らしい著名な先生方は人前で喋ることこそあれ、お互いがお互いの話を聞くことがないのです。これはもったいないことです。どんどんコラボして化学反応が起きれば、さらに多くの人たちが恩恵を受けれることでしょう。つまり、同じ内容やテーマであったとしても、テンションが上がるような場面を設定しなければ力を引き出せないのです。生意気かもしれませんが、いくつになっても学び刺激を受けることこそが、大切であることは感覚的に分かっていましたので、常に進化し続けてほしいという思いがありました。
よって、世間ではなかなかできないコラボレーションを企画したこともありました。

このようにコラボレーションをしたり、登用するということは、どういうことかというと、自分自身が叩き上げにて育つタイプでしたので、その間に多くの先生方から学ぶことが必要だったのです。よって自分が決して優秀だとかできるとか考えたことも無く、ひたすらにリスペクトという気持ちだったのです。人の良いところを視ることが出来る視点を、学生時代も含めて決して出来た方ではなかったが故に自然に身につけることになったのかもしれません。

また自分は型にはめられと途端に思考がフリーズしてしまうタイプなので、出来るだけ干渉しないというスタンスにて受講生を視てきました。つまり、育てようとして育つことは無く、「育ってきたものに栄養を水を与えること、つまり機会とチャンスの場を与えることこそが育つことにつながる」のです。

私が一番重要視してきたのは、具体的な試験の点数のような出来る出来ないではなく、ポジティブなエネルギーです。つまちネガティブなエネルギーに対しては一切、振り向かないということです。そこにつき合うこと、本当に無駄なエネルギーを吸い取られるだけで、全く持って+になりません。じっとまってポジティブなエネルギーがでてきたときに、感じられたときに声をかけてチャンスの場を提供するのです。そこには献身性と謙虚さが必ず同居します。自分に意識が向いて、自分本位や自分中心の自分の殻に閉じこもっているときには完全スルーです。

何度もいますが、エネルギーの無駄だからです。

サッカーでいうところのエゴイスティックですね。
ディシプリンとコレクティブでなければ組織は成り立ちません。
ドイツサッカーが結果的にはそのことを証明したことになります。

ポジティブなエネルギーとは何か?
それは直視すると粗が必ず見えてしまうので、半眼でみるということです。
いちいち細かいところまで視ていたら、悪いところばかりが眼に入ってきます。
大雑把にみること、それはしかしながら寛容ということでもあり、自分自身にも甘いということでもありまます。
自分自信の生き方にも厳しく、そして尚且つ他人に優しくできるのが理想でしょうが、そんな賢人にはとてもなれません。

運動連鎖アプローチにて、あらゆるコンセプトを導入して取り入れることができたのは、「先ずは受け入れよう」「ソシャクしよう」というスタンスがあったからです。これは田舎者でよく世間のことがわからず、視るもの視るものが珍しくてキラキラしていましので、受け入れないことはもったいないという気持ちがあったのでしょうね。ようは、田舎者だったからです。よって「全てを疑ってかかれ」という理学療法の根底にあるスタンスは、私には受け入れ難かったということがあります。先輩からは「全てを疑え」と指導されてましたが、内心は「いやいや・・」と思っていたものです。

おそらくカイロプラクティックやオステオパシーや歯医者、ボディワークの分野などなど、多くの分野に足を踏み入れてどこでも馴染んでいられるのが私の得意とすることなのかもしれません。適応adaptation!よく理学療法士の社会性ということが取りざたされますが、どこにいってもそれなりに適応できるように思います。
しかしながら、なんでも受け入れる、なんでも許すということは、ある意味優柔不断と表裏一体であり、時に強いリーダーシップを発揮していないということも言えます。つまり流れに任せるということを常としていますので、これはこれで仕方がないというような達観しているところもあります。運命の儚さというか、本当に一寸先は闇というように人生は思うわけで、そこに力んでも無理に押し通しても仕方がないという気持ちはあります。しかしながら、潮目が変わるものでそろそろ強烈な個性を本来の負けん気を、勝負にこだわる熱さを前面に出すときが来たのかもしれません。

私の持ち味は「伸び代」です。

まだ出していないアイテムが沢山あるのです。そもそも全力をほとんど出したことが無いという欠点があります。
放浪者のように流されながら、しかしながら理念と挟持は「理学療法」崩れたことがありません。枝葉は揺れていて良いのです。幹も削れてもいいのです。芯が通っていればやがてそこから真っすぐに伸びてくるのですから!
やなぎのようなしなやかさでありながら、しっかりと根は張ってある。なびきそうでとどまっている・・・そんな感じでしょうか。

アンチテーゼということですが、当時、3年ぐらい経験を有したら何か一つ専門性を見つけて研鑽するということ・・を推奨されていました。私は例えば膝とか股関節とか何か局所的な専門性を持つこともいいのかもしれませんが、臨床では関節や疾患などは様々であり、そこに一つの局所の専門家としてというのはどうなんだろう?という疑問がありました。全ての部位の全ての疾患の、人間にまつわる全てのことが全て知りたい・・そしてどの分野においてもどの部位であっても、1人のセラピストがマルチに視れるということを目指しました。

 当時から局所をみれるのは当たり前・・・その基礎知識をもって全体をみるということ・・

そのように教えられていましたので、いかにその道が長いか険しいかがわかります。
昨今の評価がおざなりになり、方法論だけが横行することに警報をならさなければいけない現状において、治療方法だけが特筆されるのは、既に医療ではないということです。整体なら良いです。開業であればいいかもしれませんが、それでも現在、理学療法において開業権ができれば、みな整体師になってしまうでしょう。おそらく権利を得たとしても、理学療法士としての理念と哲学を継承されないばかりが、経営論と集客論のみが横行するでしょう。現状の治療方法のみを求める提供する状況において、開業権なんてのはないほうがいいのです。かえって理学療法の価値を落とすばかりです。

開業権を与えるならば、免許の更新性にすべきです。一度とったら認定を受けたら、半永久的にということそのものが専門家としてあり得ないのです。

まとめますと運動連鎖アプローチ®とは
「リハビリテーションの理念を体現化する専門家としての理学療法士」
⑴ある特定の人のみが講師をする現状において、その人が考え方を先導しない限りは周りも進歩しない、依存体質になってしまうことから脱却する。
⑵無名であっても臨床的に素晴らしいセラピストがあり、人材発掘と育成。
⑶1人のセラピストが全てにおいて高いレベルで何でも視れる専門家となること。
⑷ハウトゥーではなく、あくまで理念と哲学を柱とする。

若者には寛容に映るかもしれませんが、言うべきところは言う!厳しさと羅針盤でなければ意味がありません。甘いと寛容は違うのです。妥協しない寛容さです。培ってきたものと積み上げたものに対する想いは誰にも負けないでしょう!
ただし、肩の力は脱力です。そこに受け入れる器ができます。本気でついてくる気がなければスルーです。その根底があるならば寛容に対処するでしょう。意外に簡単に登用もしますが、理念に外れるようなら徹底的に厳しく当たるでしょう。何故ならば理学療法士の未来を担っていく気概があるからです。個人のなんたるかで動くようなら、理学療法の未来と可能性との比較にもなりません。当然、理念を優先し頑なに押し通します。
何でも好きなことをやらしてもらえるという次元とはレベルが違います。思いつきで言っても、私の矜持を動かすことはないでしょう!言葉が軽すぎるからです。思考が浅すぎるからです。考えてきた深みが違うからです。表面的な取り繕った言葉には芯が感じられないので、一切気持ちは動きません。

 臨床推論と臨床思考過程こそが理学療法の専門性である!

「理念と哲学と挟持」
同類の表現ですが、滋賀にて開催したいただいた研修会では、その変わらない理念を山崎先生から、臨床理学療法研究会から再確認させていただきました。それは先輩理学療法士である山崎敦先生の想いが浸透しています。一貫した理学療法とは何か!ということを若手に投げかけ続けてくれています。

温故知新とイノベーション
伝統と創造
局所と全体
・・・
いつの時代でも対立軸が存在し、振り子のように振れては戻りを繰り返しています。
時代の対比として疑問と非難を繰り出しても、所詮はつまらないコメントしなできないテレビの評論家と変わりません。オーディエンスつまり聴衆は視ている側ですのでいくらでも何でも言えます。振り子の反対側を唱え、政権をとったとしても末路は悲惨だったように、真のステージに立ったときにどうなるか?という想像力が必要なのです。つまり王道があるからこそ、批判や反論が輝いて支持されるということを忘れてはなりません。自分だけでは光り輝けないということを認識していること、そして真の輝きに至るには、とことん創始者の理念を理解し、その上で情熱と愛情をもって発展させる気概が必要です。教育として育ててもそれは洗脳であり、想像の枠外を出ることはありません。ユニクロの柳内さんが結局戻ってきたように、TOYOTAが宗家に社長を戻したように、組織やスステムが揃っていたとしても、育てられない理念の根底があるのです。
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プロフィール

山本尚司

Author:山本尚司
昭和43年(1968年) 兵庫県出身 B型 水瓶座
平成2年  都立医療技術短大理学療法学科卒業。慈恵医大病院リハビリテーション科  
平成4年  相模原協同病院理学療法室 スポーツ現場でトレーナー活動、バレーボール・陸上競技・体操競技
平成5年~ 咬み合わせと全身バランスについて研鑽
平成9年   鍼灸・按摩・マッサージ指圧師 免許取得
平成11年  永生病院リハビリテーション科 勤務
平成14年  保健衛生学士 取得
平成15年  運動連鎖アプローチ研究会 発足
平成19年 都立大学理学研究科身体運動科学専攻 理学修士 
平成19年9月 運動連鎖アプローチ研究所設立。健康運動指導士 取得
平成21年~22年 GYROTONIC®, GYROKINESIS®認定トレーナー・セロトニントレーナー認定
平成23年3月  東日本大震災 石巻市・南相馬市などにてボランティア活動 6月 face to face東日本大震災リハビリネットワーク~発足
平成24年4月  公益社団法人 日本理学療法士協会理事。一般社団法人フィジオ運動連鎖アプローチ協会設立。6月日本障害者協議会(JD) 理事
 GYROTONIC®プレトレーナー   
現在、リハビリテーションを理念に日本の復興と活力を世界基準にて発信していくために日々活動中! 

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